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「いっしょに行けないって……どういうこと?」
僕はヨミもいっしょに僕の家に連れて行こうと思っていた。そして、ヨミもそれに同意してくれると勝手に思い込んでいた。でも、ヨミは行けない、といった。
「私はこれから東部地区に戻ろうと思っている。いろんなことをあいまいにしたまま出てきてしまったし、母のグループのメンバーにも迷惑をかけた。きちんと整理をつけたいんだ」
「そうか……」
僕は肩を落とした。
「またすぐ戻ってくる。だからそんな顔をしないでくれ」
「分かった」
「カカオ。待っていてくれるか?」
黒い瞳が僕を見上げる。
「もちろん。待ってるよ」
ステーションから脱出して、僕たちが西部地区にたどり着いた直後、ラオスーが僕にいった。
「レン、お前は今日限りで破門じゃ。今後いっさいわしの教えたことを用いるでない」
「そんな……どうして」
まだラオスーには教えて欲しいことがたくさんあるのに。
「自分の命を粗末にする者に教えることはなにもない」
側にいたTBが猛烈に手話で抗議を始めた。
「いや、それはそうじゃが……」
あまりのTBの勢いに押されて、ラオスーがたじたじになっている。しばらく押し問答が続いて、とうとうラオスーが折れた。
「分かった、分かった。今回だけは姉弟子に免じて許してやろう。その代わり、今後また同じことをしたら、そのときはわしがお前に与えたものを取り返しに行くぞ。お前さんの両手両足を奪う。そのつもりでおれ」
「はい」
TBが満足そうにうなずいた。
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