陽炎の森15 屋敷にもどり、奥の間に来るように言われ座ると、利隆が源八朗はいるかと呼びかけると、いつの間に来たのか、真一朗の後ろに、ここにおりますと返事したのです、


陽炎の森15


屋敷にもどり、奥の間に来るように言われ座ると、利隆が源八朗はいるかと呼びかけると、いつの間に来たのか、真一朗の後ろに、ここにおりますと返事したのです、

振り返ると、こちらに来いという利隆の傍にすわり、百地源八朗でござると挨拶した、そなた達は初めてであるな、このものは元は伊賀の忍びで今は余に使えている、


と紹介した、源八朗は京へ行き忠長様の家老が朝廷工作をするのを妨害するのだ、家老は公卿の若手急進派といわれている四条兼厚に接近し、近衛家を動かすつもり、

だろう、柳生が家光様将軍宣下を働きかけている公卿が裏切らないように監視し、もし不穏な動きあれば柳生に知らせるのだぞ、


わしの手の者である事は柳生に知れてはならない、但馬の守は策士ゆえ、後に手伝ったのがわしと分かれば、逆の事を家光様に讒言するだろう、そうして生き残った、

家系だから信用はとても出来ぬといったのです、源八朗がさっそく部下を連れて出立つしますというとす~と消えたのです、


そなた達はご苦労だが、駿河の忠長様へ書状を届けてもらいたい、勿論内容は先の柳生屋敷で話した通り、取り巻きの茶坊主の讒言に心を動かされないように、

したためておく、多分駿河者は忠長様擁立の利隆の使者と思うだろう、忠長様にはそちは表面では擁立をするよう勧めに来た振る舞いをするが、それは本意、

ではない、


正面きっての反対は火に油を注ぐので、みんなをなだめ、家光様の将軍宣下の時を稼ぐ為の策略であり、家光様将軍宣下が決まれば家臣どもも諦め、騒動は治まり、

兄弟仲良く幕府を支えていけるでしょうと書いておく、ご覧になったらその場で焼き捨てるよう申すのだぞと言ったのです、


それでは明日出立しますと利隆様の部屋を辞去したのです、笑美が部屋にお寄りくだされ、尚が近在からタイ等の海の物を調達して来ましたので、ぜひ召し上がって、

くださいと言うので何があるのですかと聞く、よくわ分からぬというので、先に帰ってください、私は台所を見てきますと台所へ向かったのです、


メイが後から、また台所へ入るのですか、男は入るものではありませんよとぶつぶつ文句をいいながらついてきたのです、料理方にどんな魚があるのか聞くと、

はい、タイに、あわび、ですがと言うのでひかりものはないのかと聞くと、ほう、村上様は光物をご存知なんですかと聞くので青魚の事だろうというと、よくご、

存知ですね、


武家は召し上がる事はありませんよというので、ないのかと聞くと、あじ、イカ、たこ、がありますと言うので、のりはあるかと聞くと御座います、

と答えたので、それでは貸してみろと包丁を借りて、まず、タイだなと頭を落とすと勿体無いというので良いのだと、構わず3枚に卸し刺身を作り、大皿に頭を、

乗せ、骨の部分に刺身を二段にきれいに並べたのです、


それを見ていた、料理番がこれはすごい、そのへんの板前、顔負けの腕ですねと感心しています、いわし、イカ、たこを少し長めの刺身にしてこれは皿にもり分け、

たのです、ご飯をおひつに入れ酢を入れてかき回し、これで終わりだ、それでは姫様の部屋へと女中に頼んだのです、


メイと一緒に姫様の部屋へ戻ると、台所で何をしていたのですか、風邪は引いていませんよ、と言うので、くすりではありませんよといい、お膳に出来た刺身を、

並べたのです、姫がビックリしてこれを真一朗殿が作ったのですかと言うので、メイがそうなんですよ、真一朗様は包丁使いも上手で料理番もびっくりして、

いましたよと笑ったのです、


姫様メイ、尚も一緒にここで食してはいけませんかと聞くと、メイと尚が一緒に頂くなどとんでもない事ですというと、姫が構いませんよと言ったのです、

躊躇していると、これは私のいいつけですと姫がいうと、ご命令ならいたしかたありません、ご馳走になりますと返事したのです、


まあこのタイは生きているみたいですねというので、これはタイの生き造りといいます、箸をつけてくださいと言うと、姫が箸をつけ、醤油をつけ一口食べると、

こりこりしていてとても美味しいわ、皆も食べてと言うのでメイも尚も箸をつけ美味しい、美味しいといったのです、


次ぎにのりにご飯をしきあじを乗せて手で巻き、姫に渡し、醤油をつけ、そのまま食べるのですというので、がぶりとかぶりつくと、美味しい、ご飯にとても合い、

ますよというので、メイと尚にも巻いて渡すと本当に美味しいですねと食べて、すこし経つともう入らないわと皆が言うので、


他の腰元達にこれを下げて皆で頂なさいと言ったのです、え~、宜しいのですかというので、笑美がよろしいのですよと言ったのです、食べる間はさがって、

いいですよ、ゆつくり食べなさいといい、それでは酒にしましょう、と言うと、これ以上入るかしらと言うので、酒は別腹ですよといい尚とメイが酒を注ぎ盃を、

重ねたのです、


また真一朗殿にはびっくりさせられましたね、いくつ、びっくり箱を持っているのかしらと姫が笑ったのです、しばらく歓談してそれでは明日がありますので、

これで失礼しますと部屋へ戻ったのです、メイがもうお休みになりますかと言うので、それでは、寝酒でも貰おうかなと言うと、すこし待ってくださいと部屋、

を出て行き、お膳を持って帰ってきたのです、


お膳には塩辛が乗っています、ほうよくありましたねと聞くと、料理番の者が光物を知っているくらいだから、多分好物だろうと出してくれたのです、料理番が、

村上様は大変、気さくな方で一度料理のご指南を受けたいなんて、言っていましたよ、真一朗様は誰でもすぐとりこに、しておしまいになるんですねと笑った、

のです、


メイが酌をすると一口のみ、メイも付き合いなさいと杯をわたし、酒を注いだのです、ほう、飲みプリがいいではないか、もう一杯と注ぎつ、注がれつしている、

うちに、すつかりいい気分になってしまったのです、メイの腕を引き寄せ唇を重ねるとされるがままにしています、帯を解こうとすると、灯りを消してください、

といったので蝋燭を吹き消し、体を抱きかかえ寝間へ入ったのです、


帯をとき、下着を脱がせ乳房を揉みながら唇を当てると、ああ~と声をころしています、手をしたの方へ持って行き、敏感な部分に指を入れると、メイがしがみ、

ついて来たので、足を広げ上に載り、腰を激しく動かすと、声がでないように手を口に当て一生懸命にふさいでいます、真一朗もがまん出来なくなり、うつ~と、

低い声を出していってしまったのです、


メイが真一朗の手を握り胸にあてたので、申し訳ないと言うと、謝らなくていいんですよ、よかった、なかなか、手をつけてくださらないので、私の事はお嫌い、

なのかと思っていたんですよと言ったのです、もし、僕が元の時代にもどる時には一緒に来てもらえるかなと聞くと、


え~、本当にいいんですか、でも、真一朗様の住んでいた時代に行って大丈夫なのでしょうかと聞くので、僕がいるから大丈夫だよと強く手を握り返したのです、

暫くして、起き上がり、着物を着て、みづくろいをして、それではお休みなされませと部屋を出ていったのです、


真一朗達は駿府へ旅立つのですが、その旅には、多くの危険が待ち構えていたのです、






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