第八回 長沙王司馬乂と齊王司馬冏は雲龍門に戦う
「長沙王が
齊王は大いに
雲龍門では長沙王の将の
晋帝は愕いて言う。
「
長沙王は
陳珍が先駆となって齊王の軍勢に斬り込むと、諸将も後について攻めかかる。その勢いは水瓶を倒して溢れる水の如く、齊王の軍勢では董艾と葛旟も自ら陣頭に立って迎え撃つ。
齊王と長沙王の軍勢は雲龍門外で衝突を繰り返し、半時(一時間)ばかりの間に将兵と民の死傷する者が相次ぐ。長沙王の軍勢の善戦に加えて禁中の衛兵と羽林の軍勢までが防戦にあたっていると知り、齊王はにわかに雲龍門を破れぬと覚って思案する。
ついに一計を案じると宦官の
「吾は天子の勅命を奉じておる。疑う者はこの
両軍の将兵は騶虞幡を見るより身動きする者もない。羽林の軍勢もついに宮中に引き退こうとした。
王瑚が王璜を罵って言う。
「兄上は忠義の人であったにも関わらず、何ゆえに禁中の公物を私して齊王の悪逆を助けるのか」
「弟は妄りに朝廷を乱すのみならず、吾を責めようというのか」
王璜はそう言い返す。それを聞いた王瑚は齊王に言う。
「騶虞幡を信じて軍勢を返せば、明日には謀反の罪に陥れられましょう。そうなっては手の打ちようがありません。察するに、これは齊王の詐略であることは明らかです。従ってはなりません」
長沙王も頷いて言う。
「主上は成輔と劉佑が護衛となり、東華門楼の上におられる。騶虞幡を余人に授けることがあろうか。これは齊王が王璜に命じて幡を盗み出させ、勅命と偽って孤の軍勢を退かせようとしているのであろう」
そう言うと、対策を案じるべく諸将を呼び集めたことであった。
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