第290話 ジャイアントギドラ
「でも、あの竜は何と呼べばいいかしら、竜だけだとまぎらわしいし」
ホノカが、なんとなしに言う。
キングギドラみたいだから、キングギドラでもいいが。
「キングギドラよりでかいから『ジャイアントギドラ』でいいんじゃないか?」
「あっ、それ決定」
おっ、アヤカが賛同してくれた。
「うん、私も賛成」
ホノカも良いようだ。
そこに「クノイチ」からの映像が送られて来た。
ジャイアントギドラが、ファイヤーボールを吹いた。
ファイヤーボールの先には、森の中に隠れていたティレックスが居たが、周辺の木と一緒に黒焦げになっている。
ジャイアントギドラは、ティレックスにかぶりつくとティレックスを食べだす。
10本の首が寄って集ってティレックスを食べるのだ。あっと言う間に骨になる。
俺たちは、それを戦慄して見ていた。
「ジャイアントギドラ、川の中央に戻ります」
名前はジャイアントギドラに決まったようだ。
「このままじゃ、街に来るのもそう時間はかからない。今のうちに、どうにかしないと……」
「しかし、あの首がやっかいです。近づけばどの首かが、ファイヤーボールを放ってくるので、死角がありません」
少将になったレンが言うが、まったくその通りだ。
「父上、私の案を聞いて頂けませんか?」
そう言ったのはタケルだ。全員がびっくりして、11歳の子を見つめる。
「聞こう」
「まず、爆撃機にありったけの爆弾を搭載し、高高度から爆撃します。
すると、首は上からの攻撃に対するため、上を向くでしょう。
そこへ『フジ』から対空ミサイルにマーカーをセットし、ジャイアントギドラの魔石部分に打ち込みますが、マーカーですので、魔石を破壊する事は不可能でしょう。
しかし、加速器重粒子砲ならどうでしょうか。
マーカーがあれば外れません。確実に魔石を破壊できるでしょう」
「……」
「タケルさまの提案を全面的に指示します。
しかし、魔石の部分が水の中に入っていると、加速器重粒子砲の威力がかなり落ちます。
加速器重粒子砲を打ち込む時に、水から出るようにしないと…」
アリストテレスさんが同意した。だが、それはアリストテレスさんの言う通り、水の中では、加速器重粒子砲の威力が落ちるのが問題だ。
「そこは、ホノカ姉さんに頼むしかないでしょう。爆撃機は火に弱いし、既に爆弾はありません。
そこで、『フェニ』に囮になって貰い、ジャイアントギドラを水から誘き出して貰うしかありません。
幸い、火の鳥なら、ジャイアントギドラのファイヤーボールに耐性があるでしょうから」
「ホノカ、頼めるか?」
「お父さま、分かりました。『フェニ』に頼んでみます」
ホノカが、フェニに念話で指示を伝えると、フェニは翼を広げて2度程翼を振った。
「そうなると魔石の位置を確認しないといけませんが……、あのでかい身体のどこにあるのかはどうして探し出したら良いものかと……」
ガーネットが言う。
「それは可能だと思います」
また、タケルだ。
「キューリットさん、加速器重粒子砲では陽電子は発射できますか?」
「え、ええ、可能です」
「ならば、陽電子スキャンが可能なはずです。それと、イージスアンテナにX線照射装置を接続して、X線スキャンして下さい。
イージスアンテナはX線の波長の5倍ですから、マッチング操作すればインピーダンス整合するはずです」
タケルよ、お前は本当に11歳か?
「砲撃班、探索班、聞こえたか。砲撃班は直ちに加速器で陽電子を発射し、スキャンする準備をしろ。
探索班はイージスアンテナにX線照射装置を接続しろ。X線は最大でかまわん。
放射線でくたばってくれるなら、それに越した事はないからな」
艦内がバタバタとし出した。
「陽電子発射後に直ちに、重粒子砲へ切り替えろ、ぐずぐすしているとやられるぞ」
スパロー提督は、やや興奮気味だ。
「レン、陽電子への切り替え時間は、どれくらい掛かる」
砲撃班に確認していたレン少将が答える。
「陽電子への切り替えは10分、陽電子から重粒子への切り替えは5分だそうです。
ただ、陽電子スキャンは重粒子砲ほど電力を必要としないとは言え、半分の電力を使います。
それが復帰するのに、10分かかります。
つまり、陽電子から重粒子砲を放つまで10分必要という事です」
「陽電子スキャンの射程は?」
「20kmです」
「X線も同じだな。するとやつとの遭遇までの距離と時間に射程を入れてベストな位置を出せ」
「既に出しています。6時間後にジャイアントギドラの20kmの位置に到達します」
「セグメルト聞いたな。スキャンしたデータを『フジ』に転送するから、後はお前の腕次第だ」
ジョニー・ブフコフ大将がセグメルト・ウォリア大将にテレビ会議を使って言うが、今度のフジの役割は重大かつ危険だ。
「おい、ハンドラルよ、お前のところの爆撃機がやつを引き付けておかないと、フジはどうなるかわからん。お前だって重大だぞ」
「俺のところのパイロットの腕を信じられないと言うのか。それに爆撃機『ヤモメ』は最新型だ。お前の心配は無用だ」
ちっょと待て、ハンドラル・アミルナ大将。
今、爆撃機を「ヤモメ」と言わなかったか?
俺が命名したのは「カモメ」だ。「ヤモメ」と「カモメ」じゃ大違いだ。
「陽電子スキャン、準備できました」
「X線スキャン、同じく準備できました」
「こちらミズホ、爆撃機「ヤモメ」4機発艦準備完了。いつでもいけます」
「こちらフジ、マーカー準備完了。こちらもいつでも行けます」
すべての準備が整った。
後はやるだけだ。
「ご主人さま、エリスさま、ご相談があります」
ミュが言ってくるのは珍しい。
「加速器重粒子砲でもダメな場合、私がオリハルコンの剣で突っ込むつもりです。ですが、あの大きさを考えると魔力増幅しないと無理と思います」
「ミュ、私に魔力増幅してくれと言いたいのね。
いつかのフェンリルを倒した時のように」
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