第45話 覗き
夜は久しぶりにミュと二人だ。
ベッドでミュといちゃいちゃしていると、扉の外で地面を擦るような小さな足音がする。
この出歯亀め。まあそういう事が気になる、お年頃なんだろうが。
ミュは「ウフフ」と笑っている。
「ミュ、どうする?」
「このまま、続けて下さいませ。私たちは夫婦ですもの。夫婦のお仕事を知るのも勉強の一つです」
ミュって大胆。
まあ、昨日既に知られているしね。今更って感じもしないではない。
俺はベッドから出て、扉の前に音を立てないように歩いていった。
扉を勢いよく開けたら、そこには公女さまとエミリーのふたつの顔があった。
二人とも固まる。目も大きく開いて、瞬きもしない。
見る見る顔が赤くなっていく。
「公女さま、あまり、よろしい事ではありませんね」
ちょっと怒ったように言う。
「えっと、トイレはどこかなーって」
トイレの位置はもう知ってるだろう。さっき、風呂に入ったんだし。
黙っているとまずい言い訳だと思ったのか、
「えっと、えっと、子供たちの事が気になって、ちょっと散歩してました」
今度はエミリーだ。
もう話が支離滅裂。子供が気になると散歩するんかい。
「はっきり言うと、覗こうと思っていましたね」
「「すいません」」
声が小さくなっている。
「分かりました、罰を言い渡します、いいですね」
「「はい」」
「今から、私とミュが愛し合いますから、そこの椅子に腰かけて見ていること」
「「ええっー、そんな恥ずかしいです」」
「でも、覗こうとしてたんですよね」
「「はい」」
「じゃあ、堂々と見てください」
二人とも無言になった。
「ミュ、いいか?」
「えっ、えっ、本当にするんですか?」
「いや、するんじゃない、愛し合うんだ」
「は、はぁー?」
公女さまたちは椅子に座った。
俺はミュにキスした。
キスをしたまま、寝着の上からミュの胸を揉んで行く。
ゆっくりと寝着を脱がしていくとミュの白い肌が露わになり、夜目に肌が浮かび上がって見える。
その姿がとても美しい。
公女さまたちを見ると手で顔を覆っているが、指のところはすっかり開いている。
寝ても崩れない双丘の先端の桜色の蕾をそっと口に含むと、ミュの口から「ああっ」と声が漏れる。
シーツは腰から下だけ隠されているので、腰のところがどうなっているか分からない。
そこのところが一層、想像を掻き立てる。
今日はミュも自分から要求してこない。
そこのところは理性がまだ働いているんだろう。
ゆっくりと、そしてじれったく愛撫していると
「あっ、ご主人さま、あ、あの」と言ってきた。
かえって見えないだけ、想像してしまう。
「あっ、あっ、あっ、あー」
俺はミュを抱きしめた。
「はあ、はあ、ご主人さま」
いつもと違う雰囲気で、違和感があったようだ。
翼は出てこない。
俺が後ろに倒れ、今度はミュが上になる。
シーツが足元に落ち、ミュの全身が現れた。
白い肌が暗闇に浮かび上がるとともに、ロングの黒髪が後ろに流れる。
「き、きれい」
公女さまが呟く。
「あっー」
ミュが叫ぶと同時に翼と尻尾が出てきて、前の方に倒れる。
倒れてきたミュを俺が抱きしめる。
公女さまたちは翼と尻尾が出てきたミュを見てびっくりしているが、俺に覆いかぶさって、幸せそうな顔をしているミュを見ていた。
気が付いたミュと再びキスをして、見つめ合う。
俺たちの間にはもう誰もいない。
二人だけの世界だ。
「ご主人さま、愛しています」
「俺もだ、ミュ」
愛し合う者たちの行為を見て、公女さまはどう思っただろうか、無言で二人は部屋を出て行った。
「出ていきましたね」
「ちょっと刺激が強すぎたかな?」
「女と生まれたら、いつかは誰かに抱かれます。でも、抱かれる女を見ることはほとんどありません。経験も勉強だと思います」
果たして、このやり方が良かったかどうか、俺にも自信がない。
公女さまたちはどう思っただろう。
俺たち二人は、抱き合って眠った。
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