第118話 オーク種族の掟?(1)

「あんた~。うちが先程遠くから~。可愛いあんたを見ていて~。思ったんだけれどさぁ~?」と。


 此の国へと来訪している女王さまは、此の国の女王アイカとは会わずに、相変わらず道草……。


 此の国の王になれなかった健太に対して、銀幕の物語……。


 あの有名な『ローマの休日』のような展開でデート……。


 というよりも?


 自身の顔を引きつらし、苦笑いをしながら男勝りの女王さまの相手をする健太を遠目から我等も凝視──。二人の様子と、『彼』を主と仰ぐ女性達の嫉妬心をあらわにした様子を凝視すれば?


 有名な銀幕の物語というよりも?


 ライトノベルのラブコメ仕様の物語のような展開に我等が思えてくるのは、気のせいだろうか~?


 まあ、我等がこんなことを、ここにいる皆で雑談しながら。


 王になれなかった少年健太と女王さまとのラブコメ物語を観察していると。


 他の国の女王、雷神ライに疑問詞を投げかけられた健太は、「……ん? 何~?」と。彼女が何を尋ねているのかは理解できてはいないが。取り敢えず言葉だけは返すのだよ。


 すると? 健太の姉さん女房? 彼女? 只の友人……?


 まあ、我等も、その辺りの二人の関係は、未だ良くは理解できてはいないけれど?


 大人の女性……。女王さまらしい紅で濡れた艶やかな唇を開いて──。


「その大きな竹細工の篭を持って、何処へ行くんだい~?」と。


 健太に明るく訊ねるのだが。


 それと同時に他の国の女王さまは、健太が先程抱えていた篭……。


 そう~? 此の国でも一二を争う美貌の持ち主の上に~。此の国の若い男性達のセックスシンボル──。アイドルであるプラウムお姉さまが、愛する健太のためにと夜通しかけて編んだ。竹細工の篭の中を覗き込むのだよ。


 でッ、覗き込めば直ぐに彼女の口から台詞が漏れてくるのだよ。


「……ん? 洗濯物か……?」とね。


 だから健太は、雷神ライへと『コクン』と、頷きながら。「うん」と、言葉を返すのだよ。彼は何も気にした様子もなく。雷神ライへと言葉を返す。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る