第110話 他国からの訪問者(7)

 オークと呼ばれる種族は女尊男卑の社会だから。


 高貴で妖艶な女性の健太への荒々しい台詞は、完全に下知となっている。


 う~ん、それでも健太は? 高貴で妖艶な女性へと。


「いやだ~! いやだ~! ここを絶対に離れない~。この女性(ひと)は僕のものだから絶対に離さない~。もしも~? 彼女を殴りたければ~。貴女の気が済むまで、僕の肢体(からだ)を殴り続ければいい~。僕は貴女に対して~。絶対に抵抗をしないから~。好きなだけ~。いたぶるがいい~」と。


 高貴で妖艶な女性へと声を大にして叫ぶのだよ。


 こんな台詞を高貴で妖艶な女性へと告げれば告げるほど。彼女は嫉妬心を募らせ、気を荒くしていくのに~。


 健太は女心をわからないので、次から次へと、高貴で妖艶な女性が嫉妬で荒れ狂うほど台詞を漏らした上に、態度でも示すのだよ。


 だから高貴で妖艶な女性は、嫉妬心からムキになり。


〈ギュ~〉と。


 健太の髪の毛を鷲掴みにして、後方へと引っ張るのだよ。


「うちが~。そこをどけといっているのがわからないのかい~? あんたは~? うちを誰だと思っているんだい~? いい加減にしないと~。あんたも、この女と一緒で許さないよ~」


 と、怒号を吐き──。


 嫉妬心から健太へと荒々しい所業を繰り返していくのだよ。


 でッ、逆に健太から強く抱き締められて、庇ってもらっている彼女は、心の中で歓喜──。


 この国のアイドルであり。白馬の王子さまでもある健太から自分の物だと、女冥利に尽きる優しい言葉を頂いたので嬉しくて仕方がない。


 だから健太に、「あんた~。私の前からどいて~。この女は、私を痛めつければ、気が収まるし。この場の荒々しい騒ぎも収まるから~。うちを庇う行為はもうやめて~。お願いよ~。あんた~」


 と、甘え声色を駆使しながら健太へと嘆願をする。


 またそんな三人の、物々しい様子を見ていた。


 この国の女性達も、自分の大事な物が、酷い目に遭っている様子を見て──。元々アマゾネスである彼女達の気も荒々しくなる。


 と、なれば?


 彼女達の殺意の目は自然と、自身の財産に対して、荒らしい所業をおこない始めた。高貴で妖艶な女性へと向けられる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る