第25話 洗濯屋健ちゃん(5)

「えっ? 本当に! 健ちゃん。サラの髪や身体を後で洗ってくれるの?」


一応、サラは念を込めて、健太へと問いかけ、確認をしたのだ。嘘偽りない言葉か、どうだかを確認とる為に。


「うん。大丈夫だよ。ちゃんと洗ってあげるから。サラさん機嫌を直してお願いだから」と。


健太は、自身の両手を合わせ、サラに拝むように頼み込んできたのだ。

やはり申し訳ないような顔を健太はしながらだ。


まあ、こんな低姿勢に夫。健太の様子を凝視すれば、サラ自身も致し方がないと思い。自身の指先を振りながら。

『今回だけだからね……』ではない。ないのだ。サラ姫さまは。


そう。彼女は、歓喜! 歓喜なのだ!


自身の夫が、自分自身を愛しながら尽くし。奉公をしてくれると言う。告げてくれるのだから。サラ姫さまは嬉しくて仕方がない。

「やったぁあああっ! やったぁあああっ! サラ~。アイカ姉と洗濯の付き添い変わってあげる。あげるからぁっ! 神殿で大人しく待っているねぇっ!」と。


健太に告げれば、愛する彼から「うん。ありがとう」と、サラはお礼まで告げてもらったのだ。


う~ん、でも? 健太がサラに告げた好条件を、サラ以外の妃達が指を咥えたまま、黙って見過ごす訳はない。


だから直ぐに不満が、サラ以外の妃達からも漏れくる。


「あなた~。久し振りに~、夫婦水入らずでお風呂~。私(わたくし)の身体を洗ってくださいませ~。あなた~」と。


此の国の丞相さまが不満を漏らせば。


「私も御方頼むよ。お願いだよ。可愛がって欲しい」と。


エリエ姫さま、自身の頬を薄い桜色に染め、照れ恥ずかしそうに小声で呟くのだ。


「あっ! 殿~。うちも~。うちの身体も頼むね。サラとシルフィーさん。エリエの後でいいから。頼むよ」と、告げれば。


「私(わたくし)も、お願いしますよ。健太さん。私(わたくし)の場合は、一番最後でいいですからぁ~。ふふっ」と。


最後の、最後に、プラウム姫さまが、自身は一番最後。ラストでいいからお風呂、洗ってくださいと控えに告げてくるのだ。


皆奥さま、妃さまは、夫の健太に対して、任意ではなく。強制でするようにと告げてきたのだ。


だから健太は『トッ、ホホッ』と、気落ち。落胆。自身の額から冷や汗をタラリと垂らし。作り笑いを浮かべながら。


「わかったよ。がんばるね」と。


奥さま達へと告げて。


(今日も残業が……。それも多々あるなぁ、今日も……)と。


脳裏で『トッ、ホホッ』と、また嘆く健太に、追い打ちをかけるように、彼の女王さまが、『ニコリ』と微笑みかけてくれるのだ。


「健太。私は本当の一番最後でいいからな」とね。




◇◇◇◇◇

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