第138話 酋長の懸念…… (28)

 それでも健太君は目を覚まさない。


 だからどうする? と、いうことになるのだが。健太君の周りに集う妻達は……。


「プラウム変わりなさい!」


 ……ん? あれ? 女性の声?


 それも健太君の妻の一人であるプラウムお姉さまを自身の腕で退けてまで、真横の位置を確保しようとする女性の勢いある声……。


 その声を聞いたプラウムお姉さまの艶やかな唇が開き、「お、お母様~」と声が漏れる。


 でッ、それに続くように、健太に集う妻達の口からも次から次へと。


「シルフィーさん?」


「シルフィー?」


「シ、シル?」


 そして最後は、アイカお姉さまの口から。


「は、母上様! き、急にどうしたのですか?」


 と、驚愕をした声が漏れてくるのだが。


 と、なると?


 今プラウムお姉さまを退けたエルフの女性が、この集落で一二を争う美貌を持つ、プラウムお姉さまの実母であるシルフィーさんのようだね?


 う~ん、確かに?


 彼女の容姿をじっくりと見て確認すれば、噂に違わぬ本当に美しい容姿をしたエルフの女性……。巫女さまというよりも女神さまとお呼びした方がよい女性なのだ。


 それに今シルフィーさまが退けた娘のプラウムお姉さまと並べても、どちらが姉? と、訊ねたくなる程若くて美しく艶やかな容姿をした女性なのだよ。


 これならウォンではないが? 武と力に自身があるオスならば強引でも自分の物にしたくなる気がするぐらい。美しいのだシルフィーさまは……。


 まさに一国一城にも値するぐらい美しいエルフの女性……。


 と、いうことは?


 この集落でシルフィーさまを手に入れた者が、事実上の長と言っても過言ではないかも知れない?


 ……だけではダメかなぁ~?


 シルフィーさん親子──プラウムお姉さまとシルフィーさんを手に入れた者が、この集落の事実上の王と言っても過言ではないぐらい。二人の容姿は群を抜いて素晴らしいのだよ。


 だからだろうか? ウォンが先程健太君に対して、ムキになり暴力を振るい続けたのは?


 だって? シルフィーさんを手に入れているウォンは。残りプラウムお姉さまを手に入れれば、この集落の事実上の王さまだと言っても過言ではないから。健太君を殴り殺した後に、プラウムお姉さまを手に入れようと試みるかも知れない可能性だってあるのだよ?



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