第59話『カナ』
「来ねえな次の魔法装置……奴ら諦めたか?」
「気やすく話しかけないでよ裏切り者!」
「くっ、なあ? あれはおめえらが悪りいだろ? 大体俺だけじゃあないだろ? ヒトシやレンやコウイチだってそうだろうが!」
「甘いわねタツオ、ヒトシとは同志よ、レンとも確認は取れたわ、コウイチはムッツリなだけでタイチにこっそり確認取って貰って了解が取れてるのよ、あんただけなのよ裏切り者は!」
小声でタツオに非難をぶつけるメグミであるが、正座と、手足の縄は解かれたが、依然として胴体の亀甲縛りは健在である。
「なあ? その恰好まだ許して貰えないのか? ってかなんで平然としてるんだお前は……」
「ふっ、甘いわねタツオ、【気にしなけければ如何ということは無い】よ!」
「その恰好で胸張って言うセリフか? 女としての恥じらいは無いのか?」
「気にしたら負けだと思ってる! ってお股に食い込んでちょっと痛いわね胸張ると! カグヤ、ちょっとここ緩めちゃダメ?」
「メグミ先輩、何言ってるんですかぁ? 罰ですよこれ? それにそこが重要なんですわ!」
カグヤは拳を握った手を振りながら力説する。
「でも少し痛いのだけど? それに動きにくいわ、大体なんで助けて怒られてるの? 私は! 微妙に納得いかないわ、先輩の後輩苛めじゃない? これって……」
「あら? メグミちゃんまだ反省が足りないのかしら? それにこれは躾けよ、苛めじゃないわ」
エミが微笑みかける。そのエミにレザーアーマーの前垂れを捲って見せながら
「でもエミ先輩、お股の結び目が食い込んで痛いです! ……セクハラ反対です!」
「あれ?! え? そこそんなことに成ってるの? あら? ねえ? なんで平然と立ってるのよ? メグミちゃん! あなた乙女の恥じらいは無いの? カグヤちゃんやり過ぎよ、流石にこれはやり過ぎ!」
「服で隠れて見えなかったけど、これはダメね、サオリも観たてのなら止めなさいよ。此処には男性も居るのよ、流石にこれはダメよ」
アキも慌ててメグミを隠す。
「いやあたしも気が付かなかったわ、見事に綺麗に縛るなと関心してたんだけど……流石はサキュバスね、その辺も抜かり無かったんだね」
「感心してる場合ですか、これ緩まないわよ? どうなってるの? カグヤちゃん如何にかしなさい」
「ええぇ……折角渾身の縛りが出来たのに……それにそこだけ緩めるのは難しいですよ、いっそ一度解いて縛り直しますか?」
「そうなの? まあ良いわ、もう縄は解きましょう、よく考えたら男共にご褒美与えている様なものですものね、良いわねエミ」
「そうね、逃げないように縛ってただけで、
「はーい、反省しまーす」
「むうぅ、微妙に反省が見えないのですよねえ、メグミちゃんって」
「ひぅ、まだ
スッと背後に回ったミホから逃げるようにメグミが動くと、
「メグミ先輩、急に動いたら縄がほどけませんよぉ、危ないなぁ、いっそ切りますか? このロープ?」
「カグヤちゃん止めてよね、高いんだからね? それにコレ、ミスリル繊維で出来てるから下手な刃物じゃ刃が立たないわよ?
何故かメグミちゃんにあっさりバラバラに切られて凹んでるんだから、これ以上の出費は勘弁して!」
「サオリ先輩、ミスリルって言っても一部ですわよね? えっ? 全部なんですか? はぁ、やっぱりメグミ先輩、化け物ですねえ、麻のロープ見たいにスパスパと切ってたからてっきり含まれてるだけかと……ほらメグミ先輩モジモジしない、動いたら解きにくいんですってば」
「ねえカグヤ、これ余計食い込んできてるんだけど、あんたワザとでしょう?」
「そんなことありませんよ、ほら半分解けましたわ、あと少しです、ほら、じっとしていてくださいませ」
「くぅ、その顔絶対ワザとだ、私なんか縛っても楽しくないでしょうに、ねえ、今度ノリネエとか縛らない? それかこの縛り方教えて! ちょっといろんな子に試してみたいわ」
「メグミ先輩……本当に懲りませんね、そして歪みありませんわ、それにノリコ先輩縛ったら多分泣きますよ?」
「大丈夫よ、【拘束術の練習に協力して欲しいの!】って上目使いでで頼めば、修行の為ならと喜んで協力してくれるわ、チョロイン舐めたらだめよ」
「メグミ先輩、それ、縛れても、その後のフォローどうするつもりですか? 縛りが完成した後、結局泣く未来しか見えませんわ」
「大丈夫、目隠しすれば何されてるかなんて気が付かないわ」
「何をコソコソ悪巧みしてるの? メグミちゃんは少し自重しなさい! な……なんでじっと見つめるのよ、なに?」
「ノリネエも良いけど、アカリさんも良いよね……華奢な割に胸も結構大きいし、スタイル良いのよねアカリさんって、こう脱いだら凄いんです的な? ね! やぱっり縛るなら赤いロープにスタイルの良い女の人よね。サアヤだとなんか痛々しくてダメよね、やっぱり少し豊満でないとね」
「だから自重しなさい! 自分が縛られて少しは思うところがあったでしょ? なんで余計に
「いやカグヤがあんまり綺麗に縛るから、これはこれで有りかなと……自分だとよく見えないし、此処はやっぱり誰か別の人を縛ってじっくりねっとり眺めたいなと」
「凄いでしょ? 結構練習したんですのよ、ああ、素人が下手に手を出したら駄目ですわよ? 血流とか止めたりしたら危険なんですから、キチンと練習しないとダメですわ」
「ゴーレム呼び出して練習しないとダメかな? まだ戦闘訓練用には使えないけど、練習台には良いかも……」
「ねえ、日本人って皆そうなの? 魔法の目的や用途が間違ってるわよ? 全力で間違った方向に振り切るのは日本人の特徴なの?」
「エロが技術を発展させるのは否定しないわ! 欲望が有るから、目的があるからそこに向かって努力できるのよ。例え目的はエロであれ、その為に開発した技術は他にも応用が効くのだから、無駄にはならないでしょ? 戦争の為に技術を発展させるよりは、よっぽど建設的だわ」
「うっ……メグミちゃんの言い分には謎の説得力が有るから困るわね。確かに今回みたいにエロ目的で開発された技術を、こういったテロ攻撃に利用するより、攻撃目的で開発された技術をエロ目的に利用する方がよりマシではあるわね」
「アカリ先輩、その究極の
「なによ欲望の強さで行けばエロの欲望の強さは戦争を凌駕する数少ない欲望よ。私の造ったゴーレム見て観る? 召喚するわよ? まだ未完成だけど良い出来よ?」
「暴走とかしたら嫌ですよ? 大丈夫なんですかメグミ先輩、それに戦闘に使えないでしょ? ここに呼び出すのはダメじゃないですか?」
「ちょっと待ってゴーレムを召喚するの? 一時的に岩や土から作成するのでなくて、半永久的に使えるゴーレムを製造したのメグミちゃん」
「任せてよ! 私の鍛冶師と錬金術の技と技術を叩き込んだわ、未だ色々改良中だけど、ノリネエやサアヤにも協力してもらって造ったのよ」
「ちょっとあなた達、何をしようとしてるの?」
エミが会話を聞きつけて此方に来る、
「メグミちゃんが造ったゴーレムを召喚して見せてくれるって言ってます」
「えっ……メグミちゃんゴーレム召喚って、召喚出来る程のゴーレムまで造れるの? あなた本当にどうなってるの? けどここ仮にも階層主のルームよ? 『ゴールデンアップルラビット』に壊されちゃうんじゃない? 折角そこまでの物造ったんでしょ? 壊れたらどうするの?」
「エミさん、『カナ』を召喚するのでしょ? だったら大丈夫ですわ、『ゴールデンアップルラビット』程度なら返り討ちに出来るだけの戦闘力は有りますわ」
「あれ? サアヤちゃん、メグミちゃん戦闘には使えないって……」
アカリが首をかしげる、
「メグミちゃん基準ですからね? メグミちゃんの練習相手にはならないだけで、下手な魔物よりは余程強力ですよ」
エミが慌てて、
「ねえ、メグミちゃん、戦闘用ゴーレムの製作には許可が要るのよ、所持にも当然許可が要るわ、分かってるの?」
「大丈夫ですよ、ちゃんと師匠に頼んで許可取ってますよ」
「ゴーレムのランクは幾つなの?」
「へ? さあ? ランク? 最初に取った時から大分改造しちゃったし今どの位なのかな?」
「サアヤちゃん、ねえ、メグミちゃんこんなこと言ってるわよ、あなたも協力したのでしょ? どの位に成ってるの? 改造したら改造申請しなきゃダメでしょ」
「私が把握してるランクでD級ですね、申請書にもD級で登録してるはずです」
「Dってそれ戦術級よね? え? FやGじゃなくてD? 何造ってるのあなた達」
「ん? 何だいメグミちゃん、ゴーレムを造ったのかい?」
「ナツオ、 ねえ聞いて、この子達D級ゴーレムを造ってるのよ」
「そりゃあ凄い、良く許可を出したねえ、ヘルイチの冒険者組合はチャレンジャーだねえ」
「エミ、少し落ち着きなさいな、一度召喚してもらって確かめれば良いじゃない? 貴方が冒険者組合の職員として驚くのは分かるけど、ヘルイチの冒険者組合だって馬鹿じゃないわよ。
それにこの子達はまだ見習い期間なのよ、完成計画がD級でもまだ未完成て話だし、まだD級って事は無いんじゃない?」
「でもサアヤちゃんの言葉だと『ゴールデンアップルラビット』に勝てるって、なら既にE級は確実よ。初心者にE級ってだけでも……」
「まあまあ、エミ、落ち着いたらどうだい? アキが言うように一度見て観ようよ、確認もしないで騒いでも仕方ないじゃないか?」
中級冒険者達の騒ぎを不思議そうに眺めていたメグミは、
「もう呼び出して良いですか? 『カナ』は良い子ですよ? そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」
「うん、メグミちゃん、良いよ呼び出して、ちょっと楽しみだな」
ナツオが言うと、周りの人も注目する。コウイチやタイチも魔道具製作が得意とあって期待のまなざしで見つめている。
メグミは静かに集中すると、家の地下の研究室の一角にの安置している『カナ』を召喚する。目の前に『召喚魔方陣』が光ながら現れ、中心から人型の影が浮かび上がる。背が高い細身のその人影は、背中に太刀を備え、剣道着の様なものを着た女性であった。
「えっ? 人間っ? 女性だよね? ん? 人形なのか?」
目を閉じたその人形は、黒髪をポニーテールに結び、凛々しいその顔、背を伸ばして立つその姿は、
「なっ、『奏』じゃねえか! 似てるなんてもんじゃあねえ生き写しだろ」
ヒトシが叫ぶ、ユカリが、
「ほんと、『奏』ね、え? ゴーレムじゃないの?」
「これは本当にゴーレムなのかい? てか、これは戦闘用じゃないよね? メグミちゃんこれはどちらかと言えば愛玩用じゃないのかい?」
ナツオが訝し気に呟く。
「まあカナデに似ちゃうのは仕方ないでしょ? 会いたいって気持ちが強すぎてこうなっちゃったんです。ほっといてください。それに愛玩用じゃないですよ、私の練習相手にしようと造ってますよ、まだまだですけどね。『カナ』起きなさい」
パチリと目を開けると滑らかに動いてメグミの方を見つめて、
《イエス、マスターメグミ、命令を》
涼やかな声が響く、感情は感じ取れないが綺麗で自然な発音だ。
「体の状態の確認をしなさい』
《イエス、マイマスター、確認開始します》
自然な動作で手を動かし、手を開いたり閉じたり、屈伸したり飛んだりすると、
《異常ありません、マイマスター》
「ちょっと待てーー!!!! 何だこのゴーレムは?? え? 何この滑らかな動き! いやあり得ないだろ?? これは無いだろ?? ランクの問題じゃないよメグミちゃん!」
普段はのほほんと落ち着いているナツオが、取り乱して叫ぶ、
「頑張りました!!」
「ナツオさんこれはヤバいですよ、おかしい、これは異常だ! こんなことはあり得ない! 応答してる、プログラム? いや人工知能だろこれは!」
コウイチがメガネをズレるのも構わず驚愕して叫ぶが、
「付喪神『精霊』を利用した、人工知能です、凄いでしょ? 制御に苦労したんですよ。おかげで『恩恵』も少し使えるんですよ?」
「なぁっ! ゴーレムに『恩恵』? ねえ大丈夫なの? 『神』や『精霊王』の怒りを買いそうなんだけど? それになんだいこの素材は、まるで人間の皮膚のようじゃないかっ!」
タイチが慄然と叫ぶ、
「大丈夫ですよ、ノリネエに頼んで『神』様達には許可を貰ってますよ。『精霊王』様にも貰ってます。素材は質感の表現に苦労しました、化粧品の開発してる師匠に教えをて頂いて……今では下手な女性よりツルツルでスベスベでしっとりとして手に吸い付くような卵肌ですよ?」
「ねえメグミちゃん? あなた何造ってるの? セックスドールでも作ってるの?」
アキが呆れたように言う、
「失礼な! 『カナ』本気で型をやりなさい。周りの人達に怪我が無い様に気を付けなさいね」
《イエス、マイマスター》
答える『カナ』の姿がブレると、周囲に真空刃が舞い散る。床が切り裂かれ、魔素樹の1メートル程の直径の根が切り裂かれる。
「ちょっ、待ってメグミちゃんストップよ、止めて」
エミが慌てて止める、ヒトシとレンが、
「やべえ、やべえよ、俺、目で追うのがやっとだぜ? これヤバすぎだろ?」
「なあ、リーダー俺こいつにタイマンで勝てる気がしねえ」
「『カナ』もういいわ、止まりなさい」
《イエス、マイマスター》
『カナ』は人間ではありえない動作の途中で止まり、そのまま元の場所に戻り、太刀を収めて直立不動に戻る。エミが頭を抱えながら、
「アキ、ユカリ、戦闘分析、適正ランクは幾つだと思う?」
「完全にDは逸脱してるわねCか…下手したらB?」
「剣術に『恩恵』と更に固有魔方陣でも仕込んでいるのでしょうか? あり得ない筋力です。これで攻撃『魔法』がどの程度使えるのか……これを造ったの、メグミちゃんが? C級は確実だと思うわ」
「ねえメグミちゃん? 以前私が見たときよりも強くなってますよ? どうやったんですか?」
サアヤは平然としている。
「人工筋肉を替えたのよ、それに人工血液も変更して反応速度と筋力を挙げたのよ。けどスピードがね、まだまだ遅いのよね、神経系も交換しようかと思うのだけど、その前に何か魔方陣を組み込んでもうちょっとスピードを上げるべきかしら?」
ノリコも普通に
「空気抵抗が邪魔してるんじゃないかしら? タツオ君の『燕』を参考に、空気抵抗を低減させればもう少しスピードも上がりそうね、稼働時間はだいぶん伸びたの?」
「サアヤに暇なときに魔力を込めてもらってるから、そこら辺は大分良くなったわ、『コボルトの瞳』は良かったわ、まだ余裕があるもの」
「2個仕込んで同期は如何でしたか? 少し不安だったのですが」
「タンクにしてるだけだから同期は何とかなったわ、『精霊王』様に貰った宝玉の性能が良いから、制御系は可成り安定してるわ、後は『恩恵』を増やしていくとどうなるかね、師匠達も少し考えてくれてるみたいだから、そっちも増やしてみるわ。
あと確かに空気抵抗よね、自分だと自然に魔力とか気でその辺やってるのよねえ。後は動作の最適化をもう少し進めれば何とか練習相手位にはなるかな?」
「ねえメグミちゃん、お師匠様達はこのことを知っているのね?」
「ええ色々アドバイス貰ってやってますからね、一人で何でも出来るわじゃないですよ。みんなの協力があってこそです」
「この街の師匠達は何やってるの? 冒険者組合の幹部でしょうに! なんて危ないもの造らせてるのよ!」
その言葉にメグミの眉が逆立つ、
「むうぅ、それはエミさんでも許せませんよ、『カナ』は良い子です。危なくなんてないです! ちゃんと『心』だって有るんです。一方的に非難するならエミさんだって許しませんよ!」
「エミ様、大丈夫です、制御には『神の宝珠』も組み込んでます。アイ様やヤヨイ様も『カナ』を認めてくれてます」
エミにノリコが真摯に訴える。
「そこは信頼してください、『カナ』に心が有るのは本当です。たとえ命令でも『心』に反した命令には従いません。付喪神『カナ』ですからね、しっかりとした『精霊』です。制御に容量を食われて感情が希薄ですけど、本当に良い子なんです。なにせメグミちゃんの愛の結晶ですからね」
サアヤも丁寧に説明する。アキは呆れ気味に、
「あれね、この街の大人たちの悪い癖が始まったんだわ。エミ、あなたの心配もわかるけど多分無駄よ。ここは5街地域、異世界の中の異世界、マッドな人達の吹き溜まり。今できる最高に仕上がるまで止まらないわよ?」
「ねえメグミちゃん、『カナ』を触らせて貰ってもいいかな?」
ナツオが目をランランと輝かせ、陶酔したように呟く、
「自動防御機構が有るので、下手に触ると手を砕かれますよ? その辺の力加減がまだ甘いので眺めるだけが無難です」
「ええっ触れないのかい? 肌ざわりとか確かめたかったのに」
ガックリと肩を落とし残念そうにいう。
「女性には甘いんですけどね、男性に触られるのを嫌うんです。メグミちゃんの好みが強く反映してるようで……」
サアヤが説明する。
「にしても素晴らしい造形だな、これはまるで生きているようじゃないか? これでゴーレムとか詐欺だろう? どこにゴーレムの要素が有るんだい?」
コウイチが陶然と呟く、
「これ絶対セックスドールに転用されるんじゃない? またこの街の悪評が立つのね」
『カナ』を見つめながらサオリが溜息をつきながら言うと、
「間違いなく転用されるでしょうね、この出来ですもの間違いないわ」
ユカリが呟く、
「協力してる男共の目的もそれかしら? 許せませんね、そんなものを初心者騙して作らせて」
マコが憤然と怒る。
「胸が小さめなのはメグミちゃんの好み?」
ハナが『カナ』の胸を見ながら指摘すると、
「ああ、それはモデルの子がね…この位で余り大きくないのよ」
ユカリが答える。
「これは師匠連中のお仕置きが必要かしら? ナツコとアミは知ってるのかな?」
ミホが何やら嬉しそうに微笑む。
「多分セックスドールに直ぐに転用は無理ですわ。制御系が特殊過ぎますし……肌の素材なんかはメグミちゃんの執念の結晶なので他の方では再現が不可能です。
似たようなお人形は出来るでしょうけど……戦闘力を下げてもこの完成度の再現は恐ろしく難しいかと。『神の宝珠』と『精霊王の宝玉』はほぼ再入手不可能でしょうし」
サアヤが『戦慄の挨拶』メンバーに答える。
「スゲーなこいつは、で? こんなの呼び出してどうするんだ? あとは階層主がもう一度沸いたら、『ラビット』含めて倒して問題が無いか確かめるだけだろ?」
そう今メグミ達は、再び現れる階層主に瘴気汚染の問題が無いか確かめるために、その出現を待っていた。その間にもソックス達ペットはその間も部屋中に散らばるドロップアイテムを集めていた、他のパーティもペットを召喚し、そのアイテム集めを手伝わせていた。
「ドロップアイテムが今回は美味しかったね、瘴気に汚染されると発酵するとはね。黄金林檎果肉としては、傷んだり質が悪くなったりしてるけど、『発酵した黄金林檎果肉』としては上質だ。これ瘴気を浄化すれば良い林檎酒が大量に手に入ったことになるからね、報酬は期待できるねえ」
ナツオが未だに『カナ』に触りたそうに手をワナワナさせながら言う。
「でも私達は出来れば普通の黄金林檎果肉も沢山欲しいんです、子供たちにも食べさせてあげたいわ」
メグミが言うと、
「大丈夫よ、その辺は協力するわ、何もなければ今日はここで終了だもの、アイ様やヤヨイ様にもお世話に成ってるし、付き合いますわよ」
とアキ他全員が頷いてくれる。
「ありがとうございます。助かります。アキ様、エミ様 皆さん」
とノリコも頭を下げて喜ぶ。
「気にするなよ、この街に貢献することは中級冒険者の義務だ、それが嫌な奴は中級冒険者になんてならねえよ」
とヒトシが答える。
「なあメグミ、目的はそれだろ? この『カナ』呼び出してどうする気だ? 戦力は足りてるぜ?」
「あっ、そうだった目的忘れるところだった、『カナ』、太刀をしまってこっちに来て」
《イエス、マイマスター》
「何をする気だ?」
「練習よ? 決まってるでしょ? カグヤ教えて、練習台が来たわ! サオリさんこのロープもうちょっと借りておくね」
「メグミ先輩……『カナ』で緊縛の練習ですか? 凄い間違った使い方だと思いますのよ?」
「『カナ』は元々私の練習相手よ? 何も間違えていないわよ? どうしたの?」
平然と言い切るメグミに、ナツオが嘆きながらため息をつく、
「あのアホ共、早く魔法装置なりなんなり送ってこねえかな、はぁぁーー」
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