五日目②

 チェックアウトの十二時までの時間、各自、思い思いに過ごすことにした。

 スパ棟内のショップで土産を購入済みのサクヤは、今日こそ昨日できなかったことをしようと意気込んでいたが、荷物まとめに手間取ってしまい、できそうにない。

 白い砂浜が広がる海でひと泳ぎし、ビーチベッドで読書しながらまったりビールを飲む、これぞリゾートの醍醐味であり、正しいバカンスの過ごし方なのにできないとは歯がゆくて仕方なかった。

 しかもチェックアウト後の十二時から、サクヤは予約も入れている。


「まあ、しょうがないかな」


 残りの時間、サクヤはプライベートプールで泳いで時間を潰し、施術を受けに行った。

 十二時よりサクヤが受けたのは、四十五分コースのアロエイマーション。

 アロエジェルとシトロネラオイル、キュウリを使い、爽やかな香りと自然素材の消毒剤により、紫外線にさらされて火照った肌や肌アレルギーなどの傷を鎮めてくれるコースである。

 赤道に近いベトナムでは、一年中日差しが強く、多くの紫外線が降り注ぐ。ダナンは日本の三倍も日差しが強く、とくに紫外線は三月から極端に強まる傾向にある。屋外にでるときは常に紫外線対策を忘れてはならないし、紫外線を通しにくい服や帽子、サングラス、日傘だけでなく、日焼け止めをムラなくこまめに塗布するのも大切だ。

 わかっていながら、サクヤは日焼けしてしまった。昨日、午後からずっと泳いでいたからだ。

 ダメージを受けてしまった肌をいたわるため、サクヤは最後に、このスパ・トリートメントを予約したのである。

 説明をきいたとき、日焼けの炎症を抑えてくれるコースだった。全身パックして包まれるだけで本当によくなるのかは、サクヤにはわからない。

 期待と願いを込めて、ベッドに横になり、目を閉じた。

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