分からず屋
「
威勢を取り戻した彼が、こちらを爛々たる眼で見据えていた。
その身に負った痛手は
しかし一方では、“これが
烈火のごとき
「とにかく、暴れるだけ暴れて気は済んだろ? そこ
「……なぜ?」
「決まってる。 あの宮ん中にいる奴ら
「あ? な……っ!? 正気ですか!? バカじゃないの!!?」
「バカはそっちだろ? 状況分かってんのか?」
「そっちこそ分かってるの!? あの二人は──」
「操られてるだけ。 そう言いたいのか?」
彼の冷静な物言いに
これが真っ当な口喧嘩であれば、少なからず勝機はあろうが、今回は
「たとえ第三者のちょっかいがあったにしても、実際にやらかしたのは奴らだぜ?」
「そんなの……! それならそれで、もっと他に話し合いとか!」
「バカか?
「上等じゃないですか! こっちが折れて、穏便に片がつくなら……っ」
矢も楯もたまらず純心を明かしたところ、彼は「見損なったよ」と大いに息を
「それでもお前、俺の娘かい? 道理の分からねえ奴は、腕っ節で改めるしか無えじゃねえかよ」
「なに……っ?」
「いやいや。 現にお前、俺をボコボコにしたろうが? 話が通じねえと知れるや。 だろ?」
「それは……」
記憶を損なっただけで、こうまで分からず屋になってしまうものなのか。
いや、むしろ逆だろうか。
こちらの意に添わない者は、シバいて正す。
じつにシンプルだ。
「あなた、本当に鬼なんですね……?」
どうにも物憂い口先が、穂葉の内心をさめざめと明かした。
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