葛藤の是非
友を救おうと、必死に己を奮い立たせる少年。
腰を抜かしたか、その場にペタリと座り込む少女。
残る一名は、気が
救いなんぞ
つまる
もとい、あの程度の苦境であれば、彼らにもどうにか乗り切れる
あの勇気ある少年が、たとえば我が身を犠牲にするか。
あるいは、使い物にならぬ友を
もしくは───
「助けて! 助けてください!!!」
「なに……?」
もしくは、自分の弱さを心から理解して、他人に救いを求めるか。
「助けて!! 無理! ダメ!」
「………………」
友の身柄を二名まで
「バカか……?」
ダメだ。 頭が変になる。 応じてはいけない。
一人を救えば十名まで。
十名を救えば百人まで。
その先は言わずもがな、容易には抜け出すことの出来ない泥沼が待ち受けている。
「助けて! お母……っ、嫌だ!!!」
「くっ!」
そこまで考えて、途端に馬鹿らしくなった。
腹立ち
「………………」
けれども、胸がすくような
「…………っ」
ズルズルと滑り落ちるように倒壊した電柱を、力任せに蹴り飛ばす。
蛸の
充電とは言い得て妙だが、あまり効果はない。
同じ電気を喰らうにしても、やはり
「なにを、してるんです……?」
「あん?」
不意の呼びかけに応じ、視線をチラリと
そこには鬼神がいた。
慌てて参じたのだろう、豊かな黒髪を振り乱し、大きな金棒を預かる細い肩口を、激しく上下動させて。
奥底の知れない黒目の中に、恐ろしいものをなみなみと
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