第71話 犯罪をなくすには法律をなくせばいいのだよ
私の住む町は、わりとみんな車道を平気で横切る。
少し広めの大通りがあるのだが、雰囲気のわりに交通量は少ないので、地元民はばんばん信号無視をする。ていうか信号、昼も夜もボタンを押さないといつまでも変わらない。そこで押すけど車が来ないのでさっさと渡ってしまう。車よりも歩行者が圧倒的に権力を持っているのだ。平和だ。素晴らしいと思う。
さてしかし、よそ者は事情を知らないのでボタンを押さずにいつまでも信号を待っている。先ほども向かい側にいる二人組がなかなか変わらない信号を前に立ち尽くしていた。ふいと目をやると『ボタンを押してください』のままではないか。
私はボタンを押す。左右を確認すると、車の影はない。渡る。対面にいた二人組がちろっと私をにらみながら、青に変わったばかりの道路を渡りはじめる。
君らが渡れたのは私のおかげなのだよ。
まあ、その調子で交通規則を守りぬいてほしいと思う。
私みたいなのばっかりだと、きっとなにかが崩壊するから。
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