旅は道連れ

「優れた占い師とはどんな占い師かご存じ?」

 気まぐれで足を止めたのは、目元以外すべて布で覆った占い師の天幕だった。声から、まだ若い女だとわかる。

「よく当たる占い師だろう」

「いいえ。当たらない方が優れているの」

 紫の目が少しだけ細くなる。

「あなたは〈冥王〉を倒すために旅をしている。でも、今のままでは倒されるのはあなたの方」

 旅装束なのは見ればわかるが、旅の目的は明かしていない。しかし、彼女は言い当てた。

「……あんたは優れた占い師なのか?」

「優れた占い師は自ら予言した運命を変えるべく、助言をするの」

 予言と助言か、と男は笑った。

「わたしを優れた占い師にするのは、あなた」

 だから連れて行って、と女は言った。



※お題:「占い」「しかし」

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