遺言
母の遺品を整理していたときにそれを見つけた。
掌にすっぽり収まる平たいケースは無地で、鈍く光る銀色だった。裏返すと、数年先の日付が書いてあった。きっとタイムカプセルなのだろう。
ケースの中には手紙が入っていた。
母は未来の自身にどんな言葉を寄せていたのだろう。
切ない気持ちになりながら、手紙を読む。読み進めるうち、私は震えるようになっていた。
ある男への恨み辛み、憎しみがつづられていた。
絶対に許さない。必ず復讐してやる。私ができなくとも、きっと娘が果たしてくれる。
ケースの中には、折り畳まれた古い写真も入っていた。
初めて目にする父の顔。
手紙は私宛だった。復讐せよと、手紙の中の、遺影の中の母が言っている。
※お題『復讐』『鈍く光る』『タイムカプセル』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます