サチスイ

作者 黄間友香

煌びやかなファンファーレで開く、青春の1ページ

  • ★★★ Excellent!!!

幸高校吹奏学部、約してサチスイは上手くもなく、下手でもない、どこにでもある普通の吹奏楽部。
その年の一大イベントである、夏のコンテストは銀賞で終わり、疲れにも似た気だるげな雰囲気のミーティングで、ある少女から「年度末の定期演奏会では音楽劇をやろう」と提案される。
これまでにない出し物に、不安と戸惑いに揺れる部員たち。僅かに踏み出された一歩は、やがてその歩調を早くして、それぞれの胸に悩みを抱えながら走り出す。
若さ溢れる青春を、各人の視点で捉えた青春小説です。

この小説は、音楽が流れます。

それは決して誇張ではなく、本文を読めばわかること。
青春小説はストレートな表現で読みやすくある物の、華やかさに欠けるという常識を、この作者は溢れ出す想いとそのセンスで見事に打破して見せます。
各章に散りばめられた決め台詞は、正に青春真っ只中の若き心の叫び。

あなたにも経験のある、そしてその途中の人の心を代弁して余りあるもの。
あのときに、このときに、次々と心から零れだす懐かしい思いに、つい遠くを見詰めてしまう。
物語の終わりには、あなたの耳に必ずや音楽劇の音色が届くはずです。
ぜひ御一読ください。

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