第20話 ディリアはアルシュの愛人(仮)
オラ、アルシュ。ジェネシス帝国の飛翔船艦隊を壊滅にして、更に未知の衛星宇宙砲台も破壊。そんで、残ったドッラークレスの残滓のロゼッタストーンの話し合いをしたぜ。
カメリア合衆国大統領は目を瞬きさせる。
あの、巨大な深紅の超巨大ドラゴンを生み出したのが、こんな十歳にも満たない子供がやった事だとは信じられなかった。
だから、アルシュは目の前で、密度の高いレッドリーレスになり証拠を示した。
大統領邸の庭に大穴が開いた。
大統領邸の大統領執務室で、カメリア合衆国大統領と話をする。
「今回の事で生じた、膨大な量のロゼッタストーンですが…。
ジェネシス帝国と折半という事にして活用してください」
大統領は微妙な顔をして
「どうしてだね。宣戦布告した相手に分け前を与えるなど…」
アルシュは指を立て
「だからです。レアドにある資源を採掘している間は…それを必要なので戦争にならない。
向こうも、多くの艦隊を失った。それを補填する何が必要なのです」
大統領は考えながら
「だが、あのような巨大過ぎる存在の出現に関して、どのような事を周囲に報告すれば…」
アルシュはニヤリと笑み
「それは、地下に眠っていた超巨大ウェフォルが刺激されて目覚めたという事にしましょう」
大統領は首を傾げ
「その理由が通るのかね…」
アルシュは大統領に近付きある事を耳打ちする。
それを聞いた大統領は驚きを見せ
「そんなモノが宇宙に…」
そう、ジェネシス帝国にあった宇宙衛星砲台の話をしたのだ。
アルシュは笑みながら
「もし、向こうがごねるのでしたら、その話を臭わせるといいでしょう」
そして、同じく話の席にいたディリアの手をアルシュは取り
「もう一つ、噂として…ウェフォルを自在に誘導出来る特別な聖遺物を持つ者が関係していて、レアド領の領主と懇意であると広めてください」
大統領は考えながら
「確かに、表向きは…超巨大ウェフォルの出現で…。噂としての裏向きとして
その超巨大ウェフォルの導きを出来る聖遺物の持ち主が関係していると…。
効果はありそうだな。分かった。君の提案に乗ろう」
こうして、話し合いが終わった後、ディリアと共にレアド領へ戻る飛翔船の中で
「ねぇ。ディリア…偶に来てもいいよね」
アルシュは隣にいるディリアに尋ねる。
ディリアはフッと笑み。
「ああ…一応は、お前の愛人って事になるのだからなぁ…」
アルシュは皮肉な笑みをして
「まあ、建前だけどね。でも…本当は、逃げる場所を作って置きたいんだ」
ディリアがアルシュの隣に来て
「何か…理由があるのか?」
アルシュは複雑な顔をして
「ぼくは、皇帝の妾腹で、しかも長男だ。最近…どうも…自分の国に良くない雲行きがあってね。
巻き込まれそうになった時に、逃げるにしても、安心出来る場所があった方が良いと、思ってね」
ディリアは肯き
「分かった。何時でも…くればいい」
アルシュは頭を下げる。
「ありがとう。あ、それと…事情を説明するに…ぼくの国に一緒に来て貰っていい?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
アルシュが、ディリアをヴィクタリア帝国へ連れて行った日、ジェネシス帝国の皇帝の間では、皇帝ブルートスが、レアドであった大破壊をした原因の報告の書類を見ていた。
目の前に白の将軍ラエリオン卿がいる。
ブルートスは資料から目を外し
「つまり、我らの艦隊を壊滅させ、宇宙砲台ネメシスを大破させたのは…。
レアドの要害たる山脈の下に眠っていたウェフォルが目覚めたから…と」
ラエリオン卿は頭を下げ
「はい。カメリア合衆国も同じ結論を出していると…間諜の報告にもあります」
「で、カメリアからは、その活動停止、死亡したレアドのウェフォルを折半して活用すると…」
ラエリオン卿は頭を上げ
「はい。我々は多くの艦隊とゴーレム軍団を失う大損害を被って下ります。
これに乗らない手は…」
ブルートス皇帝は暫し考え
「いいだろう。その折半の話、乗ろう」
ラエリオン卿は肯き
「では…そのように取り計らいを…」
「任せた」とブルートス皇帝が了承した。
ラエリオン卿は皇帝の間から下がる時、入ってくるインドラ達を交差した。
ブルートスの目の前に、インドラと銀髪のジーバーと紫髪のリラがいる。
ブルートスが
「インドラ…お前は分かっているのだろう…。あのレアドの巨大な存在の正体を…」
インドラは肯き
「陛下…結論から申し上げます。わたくしと同じ超龍(ドツラークレス)でございます」
ブルートスが鋭い顔をして
「たしか…お前を同じ者達は、お前を合わせて三人しか…」
リラが首を横に振り
「陛下、新たに誕生したようです」
ブルートスが額を押さえ
「中央大陸の七大連合国のヴァルハラ・ヴォルスング。教会の枢秘卿エネシス。
そして、我ら黒の将軍のインドラ・ヴァーチェー
四人目は…?」
ジーバーが
「おそらく、ヴィクタリア帝国の皇帝の長子 アルシュ・メギドス・メルカバーかと」
ブルートスは厳しい顔をして
「その根拠は?」
インドラが
「教会にいる二重間諜の情報筋によると。アルシュ・メギドスは、その事件の日の数日前より、レアド領に枢秘卿エネシスと共に入っていました」
ジーバーが
「アルシュ・メギドスは、精霊の力とは別の未知の力を持っていると…。
その力を強めれば…赤いロゼッタストーンを残すと…」
ブルートスは皮肉に笑み
「確かに、あのレアドに残ったのは赤のロゼッタストーンだったな」
と、ブルートスは皇帝の座から立ち上がり、インドラの傍に来て
「で、どうする?」
インドラが鋭い視線で
「ここは様子をみましょう。アルシュ・メギドスは…まだ十歳の子供。
エネシスの管理下で動いているやもしれませんし…もしくは…」
ブルートスは同じ鋭い目で
「ヴィクタリア帝国の皇帝の意向で…か」
リラが
「因みに、アルシュ・メギドスは、レアド領主、ディリアをヴィクタリア帝国へ連れて行きました」
ジーバーが
「噂によると、アルシュ・メギドスの愛人であると…」
ブルートスはフッと笑み
「十歳のガキにか!」
インドラは、ブルートスに寄り
「何にせよ。状況が錯綜しています。ここは慎重に…」
ブルートスは忌々しい顔をして
「やれやれ、色々と問題が起こって堪らん」
インドラが
「ですが、一つは解決しました。国内にいた血気盛んな強硬派連中の息は止まりましたので」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ラエリオン卿は、執務室で部下から報告を聞く
「そうか…インドラと同じ力を持つ者が…」
部下は肯き
「はい。如何致しましょうか?」
ラエリオン卿は顎を擦りながら
「情報を集めろ。もし、使えるようなら…」
部下は頭を下げ
「畏まりました」
部下がいなくなった後、ラエリオン卿はワールストリアの地球儀を触り
「さて、どのように動かすか…」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
アルシュは、ディリアを連れて帰国、早速、正妃ヴィクティアに連絡を入れて話を聞いて貰うとして、正妃城へ向かい。
「ただいまーーー ヴィクティア様! ぼく、旅行先で愛人を見つけました!」
アルシュは冗談ぽく、正妃の執務室のドアを開けると…。
顔を引き攣らせているヴィクタリア帝国皇帝アルファスと、母のファリティア。
凄く固い顔をしている正妃ヴィクティア。
その三人がいた。
アルファスがとある資料を持って来て
「アルシュ、これは…どういう事かな?」
その資料とは、レアド領であったアルシュのドッラークレスの事が載っている。
無論、それは表向きの眠っていたウェフォルで起こされた大災害として…の資料だ。
アルシュはノリノリで
「これ、実はぼくがやったんだよ!」
ファリティアは気絶して、ヴィクティアに抱えられ、アルファスは額を抱える。
明らかに重い空気が満ちていた。
そこへディリアが入って来て
「私の方から説明します」
懇切丁寧に、ディリアは全ての事を説明してくれた。
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