第39話 新しい商品の開発 (補足)
「カリマス。おはようございます」
地下の私室から一階のギルドの受付に上がってきた俺に、ギルド職員の三毛の
マリアは正式にギルド職員に昇格したが、俺はいまだカリマスである。
やはりというか、新参者の俺を規模が小さくても正式なギルドマスターとするには、かなり貫目が足りなという遠回しな反対意見が数多く上がったらしい。
あと商売に差し障ることを恐れた極一部の商人の横槍もあったとか。ですよねー。
「こちらが確認が必要な書類です」
昨日のダンジョン入場者、退場者、滞在者の数。
冒険者から買い取った魔石やドロップアイテムの数と買い取り額。
冒険者に販売したアイテムの数と売上額。
各地のギルドから出された採取系依頼や指名手配犯の情報のリスト。
冒険者からの要望やクレーム処理の対応。
などなど・・・
いまはまだダンジョンに入るパーティーの数が少ないから大きな負担はないが、将来のことを考えて王都冒険者ギルドには副マスターの派遣要請をしておこう。
出来れば政治力のあるベテランが欲しいところだ。
「
「了解しました」というマリアの返事を聞いてから引き出しから紙を取り出す。
そう紙。
ギルド周辺を開墾するついでに刈った雑草から宿屋の食堂で出た野菜の切れ端まで集めて砕いて煮込んで濾して乾燥させて完成。
・・・紙が普及しない理由が解ったよ。
地球と比べて、紙にかかるコストが羊皮紙と比べて悪すぎる。
羊皮紙に書かれた文字は汚れと認識されて、クリーンの魔法で綺麗に消えるので簡単にリサイクル出来るとか反則すぎる。
何故か、紙や木簡だとクリーンの魔法では消えないので重要な書類は紙や木簡ということになっているけどね・・・
紙に王都の商業ギルドの根古ニャー充てであることを記して木箱に張り付けると、確認済みのサインをした書類とともに木箱をマリアに渡す。
「新作ですか?」
「試作だね」
そう言って俺は、ポケットから蛍石を取り出す。
「光に当てて影に持っていくと暫く光る石よ。今回も宝飾品のデザイン・・・やってみる?」
首が取れるんじゃないかと思うぐらいマリアが首を縦に振るので任せることにする。
ちょっと前にマリアにデザインを任せた方解石を使ったネックレスはそこそこの人気商品だ。
「方解石のときと同じ、デザイン料は現物。報酬は値段の100分の3を売れた数を月末締めの翌月末払いでいい?」
「はい」
「じゃあ契約書を商業ギルドに用意させるね」
蛍石をマリアに預けると自分の席に戻って根古ニャー充ての手紙を羊皮紙にしたためる。
こちらはギルド水晶にかざすことで王都の冒険者ギルド経由で商業ギルドの根古ニャーに手紙として届けられるのだ。
あ、ついでに副ギルマスの要望も出しておくか・・・
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