ゲームを全てやり尽くしている──完璧だった

モニタールームにクラス全員で集まり、モニターに注目する。

日々垣さんが、色々機材を準備をして猫芥子とマサムネのゲームデータをモニタールームのモニターに映し出した。

正門さんは、一番前で腕を組んで座っていた。俺は疲れ果てたマサムネの隣に。俺の隣には春川ちゃんが座った。


「マサムネ君...私今の君を見ていて君が勝つと確信してるよ。すごく頑張ったんだね」


春川ちゃんが、微笑みながらマサムネを見る。マサムネは、弱々しく微笑んでコクリと頷いた。

春川ちゃんの確信したというのは、マサムネと猫芥子の今の様子を比べて言っているんだろうなということは何と無く想像がつく。


僕達は、心なしか結果が気になりすぎて真ん中の席の真ん中、一番いい席をとって座ったが、猫芥子は一人で一番後ろの一番右端の席に座った。


「では、結果発表です。その前にこのゲームの簡単な説明から。こちらのゲームのタイトルは「才能あるもの」略して才もの。初期のプー太郎をゲーミングヘッドホンの小型マイクで指示を出し交流を図りながら才能あるものに育てていく育成シュミレーションゲームです」


マサムネと、猫芥子に日々垣さんからゲーミングヘッドホンが配られた。


「まずは、日向マサムネさんが育てたキャラクターから見ていきましょう」


モニタールームに映し出されたのは、マサムネの育てたアバター。

闇夜の常闇「ダークシャドウ」だった。

頭の上に闇夜の常闇(ダークシャドウ)と表示されている。


一目見てわかる。彼は僕が前に見せてもらった時より遥かに成長を遂げている。

黒いボロボロのマントに、ごついむきむきの体、目には黒い眼帯をしたレベル100のモンスターハンターみたいな男がでてきた。


いやいやいや!!!全然闇夜の常闇じゃないんだけど!?

なにこの人!?誰!?


「魂の片割れ(ソウルメイト)よ...俺を呼ぶって事ぁ、また消して欲しい人間がいんのかぃ?」


おい、すごい物騒な事言ってんぞこいつ大丈夫なのか?


「いいでござるよ、ダークシャドウ。今日は。ダークシャドウステータス画面見せるでござるよ」


「了解した」


いつも何してんだよこいつら二人で。

ステータス画面がぴょんとでてきて、そのステータスに僕達は固唾を飲んだ。

あの見た目通り、ダークシャドウは最強だった。全てのステータスはカンスト、ゲーム内の全ての職業を経験済みで、才能も全て取得済みだ。

ゲームを全てやり尽くしている──完璧だった。


「もう彼に敵はいないでござるよ。全てのステータスはカンストしてるし、ゲーム内で交流を図ったから絆レベルもカンスト。拙者の手足のようにゲーム内で動いてくれる程でござるからな」


腕を組んで自慢げにただ、体力の消耗が激しいのか、弱々しく答えるマサムネにクラスの皆も感心したように息を漏らした。


全部カンストなんて...マサムネはやはりゲームの天才だ。

勝敗はより才能あるものを育てられた方の勝利...ダークシャドウ以上のキャラクターなんて育てられるのか?そもそも、マサムネに勝つには全部のステータスをカンストさせなくちゃいけないし、それもマサムネが学校を休んでボロボロになるまでやり続けてカンストだぞ。

猫芥子は夜に僕とやっていっただけ、猫芥子みたいにボロボロになるまでゲームをやった感じでもないし...。後ろの席の猫芥子を見ると、腕を組んで表情を変えずダークシャドウを見ていた。


何を考えているんだ...?猫芥子。


「全てのステータスカンストの猫芥子さん、絆レベルもマックスで、これ以上あがりようがない...ですね。では次に猫芥子さんのキャラクターを見ていきましょう」


日々垣さんの一言で、クラスの大半が猫芥子に注目する。

これ以上上がる事のないステータスに、全ての才能を取得した完璧なキャラクターに、猫芥子はどんなキャラクターを...!?


モニタールームに映し出されたのは、ピシッとした七三分けに、黒縁眼鏡、スーツをパリッときたいかにも真面目なサラリーマンという感じの若くてイケメンな男性だった。


彼がでてきた瞬間、


「ステータス」


猫芥子が短く言うと、


「はい」


そんな短い会話で、彼はステータス画面を表示させた。

そのステータス画面を見て、僕達は目を見開いた。


「全部...こっちもカンストしてるぞ」


そう、全部カンストしてたんだ。

マサムネと同様に、才能も全取得、ステータスも全部カンスト、これ以上上がる事のない完璧な才能あるものだった。


「待つでござるよ」


マサムネが、目を細めて呟いた。


「どうした?」


「絆レベルを見るでござる」


マサムネがマックスにしていた絆レベルが、1にも満たなかった。


「拙者のダークシャドウは絆レベルもマックスで完璧だったでござる...それに比べて、猫芥子殿のキャラは絆レベル以外は拙者と同じででござるが、絆レベルが1にも満たないでござる...これは!」


これは──そう、マサムネは勝利を確信したように語尾を強くした。


「猫芥子.....」


猫芥子は、至って落ち着いた様子で座っている。負けを悟っているからなのだろうか。


「猫芥子さんのキャラクターは、驚く事に日向さんと同様に全てのステータスがカンストしていますが、日向マサムネさんがマックスだった絆レベルが1にも満たないですね」


日々垣さんの解説が入り、クラスの大半がまた猫芥子に注目する。

だが、猫芥子はそんな中でも落ち着いた様子で、驚くべき事を口にする。


「やっぱり俺の勝ちだ」

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