第149話 絶対不敗の決闘者 -16
◆
(……男が先に来た?)
またしても意表を突かれた形であった。
先に少年が前に出るとは思っていなかった。
真っ先に思いついたのは、また囮だということだ。
彼を真正面に立たせ、死角から攻撃する。
しかしそう思わせておいて彼がメインだったのが、先程の策であった。
ならば二度もその轍を踏むわけにはいかない。
――囮だろうがそうでなかろうが、目の前の相手を倒す。
自身の行動指針を決めた彼は拳を固め、走ってくる少年に焦点を合わせる。
真っ直ぐ。
ひたすら真っ直ぐに向かってきた。
そこに小細工も何もない。
今度はしゃがむ様子もない。
だからエーデルは軽くジャブとして左拳を彼の顔面に繰り出す。
だが――
「なっ!?」
左拳が彼に当たる前に弾かれた。
まるでそこに見えない壁があったかのように。
驚きながらもすぐさま次の攻撃として右拳を腹部に放つ。
しかしながら、それも彼には届かない。
「おいおいおいおい!」
エーデルは目を見開きながら口角を上げる。
海に落とされる前の攻防では無かった、とある事象。
エーデルの攻撃が通じない。
むしろ殴ったエーデルの拳が痛んだ。
そう。
それはまるで――反射されたかのようだった。
「てめえも俺と同じってか――少年!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます