『寝ぼけた彼の勘違いでドキッ!』なイベントが起こったようです。(レンリ編)



「……」


「…………」


「………………」


「……なんかいつもにましてぼーっとしてるみたいだけど何かあった?」


「……さっき、5限目の時間」


「うん」


「中庭で、日向ぼっこしてた……んだけど」


「うん、――ってナチュラルにサボり発言は駄目だろ」


「……ごめん」


「いや謝られても。直接は関係ないし、それってどうなのとは思うけど怒ってはないから。まあとりあえず続けて」


「――気持ち良くて、眠って」


「……」


「目が、覚めたら……あの子、ぎゅーってしてて」


「――は?」


「困ってたみたいだった、から。離したら、ふらふらしながら歩いて行って。……顔、赤かったし、体調悪かった……のかな、って」


「いやいやいや。ちょっと待て整理させて」


「……?」


「まず。目が覚めたのはいつ頃」


「多分、5限目の休み時間……か、6限目始まってすぐ、くらい」


「ぎゅーってしてたとか言ったけど、その前後を詳しく」


「……詳しく?」


「詳しく。起きる前とか起きた後とかでなんか覚えてることは」


「……猫」


「猫?」


「一緒に、寝てた。のに、いなくなってた。……抱いてた、つもりだったけど。いなかった。『かんな』はいたのに」


「――それまさか猫の名前か」


「……ダメ?」


「駄目っていうか何ていうか、もしかして身近な人間の名前手当たり次第につけてるんじゃないだろうな」


「5匹だけ……だけど。ダメ……?」


「……。『かんな』の時点で3匹は確定として、残り2匹のうちどっちかがその子の名前だったり一緒に寝てたけどいなくなったのがその猫だったりしないよな」


「すごい……。なんでわかったの」


「――あー、うん。とりあえず、」


「?」


「その子別に病気じゃないだろうから心配しなくていい。ただしばらく顔合わせたら避けられるかもだけど」


「……なんで?」


「自分で考え――てもわかんないよなおまえは。でも説明するの面倒っつーかこっちが恥ずかしいからミスミあたりに聞け」


「ミスミ?」


「多分説明には一番適任だから。カンナでもいいけど」


「わかった」


「――ただ、一つ言っていい?」


「? うん」


「目が覚めて好きな子抱きしめてた時点で色々と気付け。病気かなとか心配する前に考えることがあるだろうが。っつーか突き飛ばされたりしないところがあんたのすごいところだよな……まあ抵抗されてても気付かなかった可能性はあるけど」


「よくわからない、けど。……固まってた、と思う」


「……ああ、うん。だろうね。いきなり抱き寄せられたら固まるよね。あんた寝ぼけてる時表情筋緩いし」


「それ、……何か、関係ある?」


「多分だけど。……しかしアレだな、おまえらって顔がいいから許されてるところ結構あるよな」


「……?」


「わかんないならそれでいいって。セーフなのかアウトなのかはされた本人にしかわかんないし。セーブさせた方が良いのかとは思わないでもないけどもうなんかメンドい。なんなのおまえら。個人の許容範囲の限界にでも挑戦してんの」


「……その、よく、わからない、けど。ごめん……」


「わけわかってないのに謝られてもねぇ。っつーか本当相手に同情するよ。あんたらに遭遇するたび精神の消耗半端なさそうだよね可哀想に」


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