砂糖少女

作者 天童美智佳

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Good!

あまくてせつない。

どうしてでしょう、この短編を表現するのにはひらがなが似合う気がします。現実だけ見ると誰も救われていないように感じますが、その中でも美しいものに魅入られる精神の強さが全編を貫くのが心地良い。高度に練り上げられた飴の美しさと、少女の希望がシンクロしています。

ここからは私の個人的な事情も絡みます。私も父と母が別れて母についていきましたので、父とは十数年音信不通です。時々、昔を思い出すキッカケになるのは──なんでもないものをふと見た時だったりするのですよね。日常に潜む思い出のかけらは、なかなか消えてくれません。

少女は、どうなるのでしょう。後悔している母と彼女の世界は、いずれ交わる時が来るのでしょうか? 私は平行線を生きていくような気がするのですが、これ以上は邪推になるので控えましょう。

★★★ Excellent!!!

砂糖菓子、なかでも飴玉に執着した少女の物語。
美しく綴られる甘い甘い、その中に密やかに込められた狂気の色が見える。

甘くない場面が一つだけある。
からだに循環し満たすものについての記述だ。
「塩辛い血潮ではなくて、甘い砂糖水なのではないでしょうか」
この一行は人生は必ずしも甘いものじゃない、と逆説的に問うているのではないか。
読後にかすかな苦さが残る一篇です。