第39話

○ 吸鬼は殺されない限り、いつまでも生き続ける。


○ 吸鬼を刀や鉄砲などで殺すことはできない。闇であるから。


「また、闇か。一体どんなやつなんだ」


「……」


レポートはそこで終わっていた。


上条が桜井にレポートを手渡して言った。


「それで、これからどうする?」


「そんなの決まっているだろう。探すんだよ、巫女を」


「巫女を、探すって?」


「そう。神社の家系に生まれ、オッドアイで若くて処女の女性だ」


「そんなのいるのかよ。たとえいたとしても「吸鬼といっしょに封印されて死んでください」と言われて「はい」なんて言うかな?」


「条件を少し修正しよう。神社の家系に生まれて、オッドアイで若くて処女で、自己犠牲精神の高い女性だね」


「おいおい。よけいに厳しくなったじゃないか。ほんとにそんな都合のいいやつ、探しているのかよ」


「いないかもしれない。でも日本人は一億三千万人もいるんだ。いても不思議ではないと思うよ。可能性が高いとは、決して言えないけども。……そうは言っても」


桜井は上条の肩の上に手を置いた。


「巫女がみつからなければ、僕らは終わりだ」


「……」

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