第277話仲間

潮風に揺れる金髪のあとにつき、歩くことしばらく。


砂浜の中の、訓練に使うだろうエリアが見えてきた。


エミリーの仲間らしき女性数人の前で止まる。


何かしらをするようで、二本のポールに支えられたネットが設置してあった。


「ひょっとして、バレーか?」


砂浜でテニスはやらないだろうし、大体バレーくらいの高さである。


「うん、カズちゃんの歓迎会の意味も込めて、こういうゲーム形式の訓練にしたんだよ」


「意外に気を使えるんだな」


以前に日本に来た時は、場をかき乱してしかいなかったし。


「副官のアドバイスを聞いたんだよ。お礼なら彼女に言ってね」


そう言ってエミリーは、砂浜にいる仲間の一人を指さす。


「お久しぶりです。私のことも覚えていてくれると幸いですが」


「あの時の人ですね」


お目付け役なのか、エミリーと日本に来ていた記憶がある。


「ほかの仲間も紹介するよ。こっちの黒人系がアメリア。アジア系がイザベラ。で最後の一人が、私と同じホプ一族のソフィア。従妹みたいな関係だね」


一人一人、指をさすエミリー。


「一樹さん、始めまして。ソフィア=ホプです」


「あれ? 日本語しゃべれるんだ」


俺の周りの外国人はしてるが、普通は珍しいだろう。


「huhu、驚いた? 私とカズちゃんが結婚するから、少しだけ勉強してくれたんだよ」


「これからよろしくお願いします」


一応、一緒にバレーする相手だから頭を下げる。


「そんなにかしこまらなくてもいいよ。どうせカズちゃんも、ホプ一族の一員になるんだからさ。haha」


「悪いが、勝手に話しを進めないでほしいんだけど」


ハメられただけで、自分の意思でアメリカ来たわけじゃないしね。


「こう言ってるけど、本当は私にメロメロなんだよ。hahaha」


「いい相手が見つかってうらやましい」


「おい、本当にいい加減にしろよ。この訓練が終わったら、日本に帰る気だし」


「日本で言うところの、ツンデレってやつだね」


そのままエミリーは、hahahaと笑いだす。


どうして俺の周りの外国人は、こういう変な日本文化を学ぶのだろう?

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