第264話選択

「しかし、本当にいいのかな?」


俺だってそれなりの覚悟を決め、先輩の”婚約者”をしている。


母の名誉を守るため、当主の座を目指すこのロリを応援するためにだ。


「だからといって、それが先輩と結婚する理由になるわけではないような……」


そもそも、「誰かを選ぶ」ということが、俺に合わないだろう。


「というわけで、やっぱり全員だ」


俺は女の子を見渡す。


「だから、それだとダメだって言ってるやろ? 何のためにアンタとよしかをくっつけようとしてるか分からんのか?」


「理解してる。でも先輩は、いや俺にとって大切な人が傷つくなら、俺は全力で阻止する。そうしたら誰も死ぬことなく、ハーレムの出来上がりだ」


「やっぱ、一樹はそれを選ぶんだね」


「本当はわたくしだけを選んで欲しいのですが」


「まあ、一樹君ですしね」


いつものように、呆れられる俺。


「ウチはよしかが大事なのは本当や。唯一の友人やからな」


”海賊”のヴァルキュリアとやらは、友達じゃないのだろうか?


そう思ったが黙っておいた。


「だが、同時にそれもおもろいと思ってもいる。これに乗っかりたいのも本当やで」

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