第235話覚悟

「いないと思っていたら、お前たちはここにいたのか」


「あれ? サーシャも露天風呂にきたの?」


「美少女が増えてくれるのは、ウチとしてもうれしいことやで」


「サラ、そういうことを言うのはやめなさい」


「皆様と御一緒できて、わたくしは光栄です」


どうやら、壁の向こうには女の子が5人全員が、勢ぞろいしてくれているらしい。


もしも向こう側をのぞけるのなら、みんなの裸を見れてしまう。


俺は目を閉じて、壁の向こうを想像、いや妄想した。


サーシャとオリヴィアの、発育のいい体。


桜子の小さくても確かに存在する胸部。


ロリ先輩の巨乳。


サラさんの普通サイズおっぱい。


アメリカ産の爆乳は、壁じゃなくて海の向こう側だったっけ。


「これは挑戦する価値があるはずだ」


俺がのぞきをしていることがバレたら、当然女の子から嫌われるだろう。


だが、デメリットよりもメリットの方に、天秤が傾いた。


俺は露天風呂から上がり、仕切り板に近づく。


夜風に打たれながらも、懸命に穴を探した。


「ダメだ。見当たらない」


当然の事実であるだろう。


もしものぞき穴が存在していた場合、とっくの昔にふさがれているはずだし。


「やっぱり探していたね」


「ですね。予想を裏切らない行動ですよ」


何故か壁の向こうから、嫁と婚約者の声が。


今、俺に言われたのか?


「どういうこと? いまいち意味が分からないんだが」


俺も壁越しに、向こうに声を届ける。


「どうせ一樹のことだから、こっちをのぞくと思っていたんだよ。だけど、残念ながら穴なんてなかったね」


「と言うわけなんで、一樹君。私の裸を見るのは、あきらめてください」


「婚約者なんやし、正攻法でよしかの裸を見たらええんやないか?」


どうやら、俺の思考は読み取られていたらしい。


もしも穴があっても、バレずにのぞくことはできなかっただろう。


「しかたがない」


俺は失意のまま露天風呂に入り、冷えた体を温めた。


風呂に入っている間も壁越しに美少女の声が聞こえ、俺を悩ませたのは言うまでもない。

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