第214話相談

『そいつら、一樹君のところにまで来たんですね』


一人で悩んでも仕方がないので、先輩に連絡をしてみた。


番号を知ってるのは俺が婚約者だからではなく、サラさんが何かしたときに素早く教えるためである。


こんなことで役に立つと思わなかったのだが。


「先輩は知ってるんですか?」


どうやら面識があるらしい。


『私への面会を求めるやつがいると聞いて、会ってみたんですよ。無駄な時間でしたね』


どうやらあまり好きではないようだ。


『誰に言われるまでもなく、私は後継者になるつもりですよ』


「なるほど」


先輩が命がけで後継者を目指してるのは、よく理解している。


「しかし、この2人はどうすればいいですか? なんだか可哀そうに思えるんですが」


『ほっとけばいいと思います。私たちにしてあげれることは、何もありません』


「だけど、2人とも一族再興を夢見てるし、俺を信じて頼ってくれたわけだから……」


できたら、何とかしてあげたい。


『仕方ない話だと思いますよ。私は私のために後継者を目指してるだけであり、ほかの誰かのためではないですからね』


「だからと言ってほっとくのも……」


『そういうとこが一樹君の長所でもあり、欠点でもあるのでしょうね。エゴが強い魔女からしたら、賞賛されないことだと思いますけど』


「そうですか?」


俺としては、当然のことをやってるだけだが。


『だったら、本人に会ったらどうです? 話したところで解決しないとは思いますが』


「本人とは?」


一体だれを指しているのか?


『私の従妹です』

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