第193話震撼

「それで、サラさんの父親は、どうするんでしょうかね?」


よく分からないので、やっぱり先輩に聞いてみる。


「おそらくですが、サラの意見を持って帰るのだと思いますよ。極端な言い方ですが、母親のメッセンジャーですからね」


「それは……」


言い方がひどい気が。


「事実でしょう。全部、サラの母が独断で決めたことだと思いますし」


「ワンマンなんですね」


誰にも相談しないで決断する感じなのか?


「だからこそ、ここまで頭角を現した一族になれたのだと思いますよ。なんだかんだで有名ですからね」


「なるほど。すべては母親次第か」


俺は納得する。


「しかし、それだと母親が納得しないと、サラさんは何回も連れ戻しに来られるってことじゃないですか?」


「あ、それはボクも思った」


今まで聞いていた嫁(自称)も賛同してくれる。


「だったらどうするのだ? 父を追い返しても、同じことの繰り返しになるぞ」


サーシャもこう思うようだ。


「それに対してどう対抗していくかは、実際にサラに聞かないと分かりませんよ」


「じゃあ、何もならないですね」


そうやって落胆した時、部屋のドアが開いた。


「お、こんなとこにいた。探したで」


当然、話題の人物である。


「サラ、話は終わったんですか?」


「もちろんや。よしかの心配するようなことはあらへん」


どういう話し合いだったかは分からないが、ひとまず収まったようだ。


「その結果というわけではないけど、ウチはみんなに言っておきたいことがあってなあ」


「なんですか?」


ロリ陰陽師が首をかしげる。


「日本まで来たし、ウチはイベントで自分の書いた本を出品したいと思うんや。手伝ってくれんか?」


くすんだ金髪の少女は、俺たちの前でこう言ったのだ。


聞いた全員が震えたのは言うまでもない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る