第191話評価
「違う、私は自分の意思で、お前を連れ戻しに来た」
おとんは声を荒げる。
「いうと思ったで」
ウチはため息をついた。
「お前の婚姻は、ホーエンハイムの未来のためだ。大事なコネクションができるんだぞ」
「おかんの口癖やな。いつも聞かされ続けて、もう飽き飽きや」
相手はアラブの成金息子だったか?
なかなか息巻いてるようやが、正直興味ないで。
「ホント、わが父ながら、つまらん男や」
コイツはおかんとの魔法的相性の良さを見込まれ、婿入りしただけの存在。
生まれてくるのがウチみたいに、魔法に興味がない子供じゃなかったらよかったな。
おかんの思想に共鳴してたかもしれへんし。
「お前、あんな東洋の島国にしかいない、呪術師ごときが御三家なんだぞ。おかしいと思わんのか?」
「なんや? 今の時代に、人種差別かいな? おかんと一緒に、時計の針を戻したいんか?」
御三家のうちの二つは、欧州に本拠地がある。
そのうちの一つと、ホーエンハイムが深くつながりすぎた弊害やな。
東洋人だろうが、結果出せば評価されるで。
「当たり前やけど、おかんよりもよしかのほうが、名前は知られているで。どっちのほうが世界的に尊敬されているかは、言うまでもないやろ」
御三家が無理なら、四でも五でもいい。
いつもそんなことを言っているおかんであるが、この調子ではムリそうや。
「おかんはいつもよしかをバカにする。陰陽術はマイナーな魔法であるのは事実や。だからと言って、それが劣ってるとは限らんやろ」
残念なおかんからしたら、よしかの成功はホーエンハイムの秘儀によるものになっている。
実際は一緒にMオイルを開発する前から、よしかは色々な場所で評価されていたんやけど。
ウチに言われ、おとんは何も言えない状態になった。
「おとん、ウチはおかんから逃げてきたのは本当や。しかしな、こうやっておとんと話をするのも、目的なんやで」
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