第129話忌み子

私の名前は、エミリー=ホプ


いや、これも偽名なのかな?


昔の名前はあったが、もう捨てたよ。


ホプ一族に生まれた、白い忌み子。


それが私さ。


幼き日、周りから向けられる侮蔑の目が分からない私。


血を色濃く受け継ぎ、一族の秘技を鼻歌交じりで使えることが分かると、それがさらにひどくなる。


私を一族から追い出すという話もでた。


しかし、才能を惜しむ声もあがる。


折衷案として「身分を隠し、ふつうの少女として学校に通わせる」ことになったさ。


それでも、そこには差別が待ちかまえている。


魔女と一般人。


どっちも人間であるということなのだろう。


学校は人種に分かれ、お互いに嫌い合っている。


経歴を偽装した私は、白人グループに入った。


そこで聞かされたことは、一族の差別と大差ないと思ったね。


どっちも等しく米国籍を持つ人間にすぎない。


壁なんてお互いに作りあっているだけだ。


だから私はこれを打ち破ろうと思う。


強い反対を受けながらも、一族の秘技であるマナ操作のノウハウを軍や政府に流した。


一族の名は世界に広まる。


米軍や兵器開発部も私の魔法を高く評価し、その結果専用機を作ってもらえることになった。


量産型を改造しただけではなく、私用に一から開発した機体。


少数ではあるが、一族の中にも閉鎖的な体制に疑問を覚え、私に賛同してくれる者が現れた。


そんなとき、イレギュラーである一般人の話を聞く。


借金を背負ったからではあるが、自分からこの世界に入ってきたとか。


彼を受け入れ、一族の堅い殻を破るきっかけにしよう。


同盟国であったのも、幸いした。


いきなり一族に入れといわれ、無条件でうなづく者などいない。


「年代も近いし、婚約者にすればいいのではないか?」


賛同してくれる同士からの提案を受け、私は日本に旅立つ。


私が一族のトップに立つときの支えになってくれる上、強い魔法の才を持った子供を産めるしね。


恋愛に憧れていたのは嘘ではないさ。

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