第90話新装備

「新装備の調子はどうだった?」


訓練後、別々でいた2人に聞く俺。


ちなみに、桜子は今いない。


「だいぶクセが強いようだな。私専用になっている」


ロシア人だからか、量産できないものは嫌ならしい。


「ボクの装備は、複数人で使用すれば、並みの操縦者でも使えないことはないね」


「それを一人で使えるのはお前だけか?」


「うん。魔女のボクだけ。褒めて」


魔女は笑顔だ。


「専用モード以外でも使用できるので、無駄ではないのだからな」


空気が嫌であったからか、サーシャが話に横入りした。


「だが、これは重いし発射の反動が強いな。AA装着しないと使用できないだろう」


「その前提で開発されたんだろうしな」


当たり前の話だ。


「しかし、AAが故障してこれだけ残ったら不便じゃないのか?」


サーシャは意外にくいつくなあ。


「確かにそうだ。それは仕方ないだろう」


俺も生身で<トツカ>は振れない。


「だがな、それをどうにかできないかと考えてる」


「それは熱心だな」


ロシアの未来は安泰だ。


「その話はまた今度にしよう」


そんなこんなのせいで、一番変な魔女からまっとうなことを言われる。


「だな、俺は結構上手になったと思うぜ」


かわいい妹を守れるぐらいにはな。


「困るよ。一樹が守るべきなのはボクなのに。このシスコン兄」


「違うよ」


作戦のため、仕方なくだ。


「ホント? 嫁よりも妹が好きだったりしない?」


ジト目の嫁(自称)


「俺はお前も桜子も、平等に愛しているよ。もちろんサーシャもな」


ハーレム建設が俺の目標。


「でもさ、そういうところでは嫁であるボクを一番にしてくれなきゃ」


「俺に一番はいない、しいて言えば、全員が一番だ」


ハーレム王が言いそうな言葉でごまかしておく。


「オンナノコはみんな、自分を一番にしてもらいたいんだよ」


嫁はムっとした顔をした。


「そういう訳なんで、誰か1人は選べません」


俺は脱兎のごとく走り出した。


本当に逃げていたがな。

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