第47話会話

「行っちゃいましたね」


「ああ。逃げられてしまったな」


 残念そうに言った佐伯に、教官こと早瀬が答える。


「早瀬さん。あの子たち、行かせてよかったんですか?」


「何の話だ? 私たちは止めようとした。でも、強行突破されただけだ」


「ウソをつかないでください」


「何を言っているか分からない」


「重要なAA。しかも、専用機ですよ。ロックが外れている訳がないじゃないですか」


「そうとは限らん。整備士のミスだろ」


「またまた。本当ははずしていたんでしょ?」


「お前の妄想は置いておこう。私たちは撤退しないといけないからな。荷物をまとめるだけでも一苦労だ」


「あの子たち、戻ってきますかね?」


 そういって佐伯は、横目で早瀬を見た。


「子供を信じて待つのが、大人の役目さ」


「あら? 意外といいことを言うのですね」


 佐伯にとって、驚くことのようだ。


「私は教師だからな」


「そうだったわね」


 佐伯はおかしそうに笑った。

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