第32話対峙

「来い、サーシャ」

 

俺とアイツの距離が縮まる。


直刀〈トツカ〉を握る手に力が入った


「落ち着け、俺」


アイツは何か壁のようなものを生み出す。


 それによって、俺の攻撃を防ぐつもりなのだろう。


「なら、それを突き破る」


 散々、練習してきた突きである。


 この本番に失敗することはないだろう。


「それにプラスし、練習中の魔法も」


 俺は少し前まで、何も知らない学生であった。


 当然、魔法なんて使えるはずがない。


「俺“だけ”では無理だな」


 スサノオに積まれているCPUには、術式が記憶されている。


 それを読み込んでエンジンと組み合わせれば、俺でも魔法が使えるらしい。


 突きと合わせ、ひそかに練習していた。


 練習では全然うまくいかず、魔法が発動しているかどうか俺ですらよくわからないレベル。

 

エンジンに流したマナを操作し、〈トツカ〉に魔法をかける。

 

見た目は何も変わらないが、きっと成功したはずだ。


 彼女が迫ってくる。


 俺を抜き去るために。

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