第41話 離婚と結婚
「彩、高橋から電話があって、向こうの人に子供が出来たようなの。
それで、出産予定日があなたたちの結婚式より前になるから、あなたたちの結婚式を待って離婚、結婚となると一時的に生まれてくる子に父親が居ないって事になるじゃない。
高橋はそれを気にして、出来れば離婚してくれっていうのだけど、どうしようかしら?」
「私はそれでもいいけど、結局はお母さんとお父さんの問題だし」
「でも、あなたは名前が二度替わる事になるわよ」
「そっか、それも色々と面倒そうね」
「もう、籍入れちゃえば」
「え、ええっー。智さんがそれでいいと言うなら、私も今のうちに『杉山』になっちゃおうかな」
「学校とかは、何と言うの?」
「両親が離婚したので、名字が替わりましたって」
「そうね、二度替わるよりは良いかもね」
昨夜、母と話し合った結果だ。
今頃、お母さんと智さんが電話している頃だろうな。
智さんはどう思うかしら。
私は智さんの家のチャイムを鳴らすと、智さんが玄関を開けてくれた。
「さっき、お義母さんから電話があった。離婚するそうだね」
「そう、それでね、私の名前が2度も変わるとややこしいから、高橋の名前で籍を入れなさいって」
「彩はどう思う」
「私もそれでいいかなと…、いつかは入れるものだし」
籍を入れてから婚約って事になるのかな。それから結婚式?順序が逆だわ。
でも、最近はデキ婚とかあるから、それを考えるとあまり違わないかも。
「だが媒酌人の加藤さんとか…」
「加藤さんも仕方ないって」
「うちの両親にも相談してみる」
智さんが、ご両親に電話をしている。
ご両親も驚いているみたいだったけど、「まあ、いいんじゃないか」の一言で終わったらしい。
役場に行って、婚姻届けを貰ってきて、二人の名前を書いて提出するだけで、籍が入る。
結婚って、意外と簡単なのかもしれない。
そして、3月の終わりに私の名字は「杉山」になった。
「それで、新学期から彩は「高橋」で学校に行くのか、それとも「杉山」で学校に行くのか?
「うんと、やっぱり、『杉山 彩』の方がいいかな。でも結婚したとなると周りがうるさいから、両親が離婚した事にしとこうかな。実際、事実だし」
なんだか、「杉山 彩」って言う方が、しっくりとした感じがする。
学校では何と言われるだろう。
「結婚しました」って言いたいけど言えないのが、もどかしい。
智さんはお母さんと一緒に暮らしても良いと言ってくれたので、八王子の家に引っ越そうとしたけど、母が
「しばらくは新婚気分を味わいなさい」
と言ってくれたので、智さんの三鷹のマンションに住む事にした。
籍を入れたので、今日からは正真正銘の智さんの妻になった。
「旦那さま、末永くよろしくお願いします」
こういう事は大事だから、ちゃんとしなきゃ。
「彩はなかなか古い女だな」
智さんは笑っている。
「えー、だってそうでしょう」
「まあ、そうだが」
新婚生活を始めると決めた時に、追加のベッドを買って、智さんのベッドに並べた。
今日、私はここで、妻として、智さんに抱かれる。
優しくしてくれるといいな。
ベッドに二人で入る。
いつもは、直ぐに智さんに抱きつくけど、今日はなんだか智さんの方に行けない。
智さんが部屋の電気を薄明かりにして、口付けをしてきた。
その瞬間、身体が震え出す。
どれくらいの時間、口付けをしていたのだろう。今度は私の耳を甘噛みしてくる。
「あっ」
ちょっと、くすぐったい。
耳を口と手で愛撫されると,身体がリラックスして来るのが分かる。
くすぐったいけど、気持ちいい。
智さんの口は耳から、うなじを通って喉の方に行く。
もう、喉がカラカラ。身体も暑い。
智さんが右手で、寝間着のボタンを外していくのが分かる。
ボタンが外されると、今日のために買ったブラジャーが見えるはずだわ。
智さんがブラジャーの上から、私の胸を探る。
恥ずかしい、けど気持ちいい。
智さんは寝間着を片腕ずつ抜き取り、私をブラジャーだけの姿にした。
私は思わず、両手で胸を隠した。
智さんが、私の背中に手を回し、後ろのホックを外している。
ホックが外れたブラジャーを智さんはそっと取るけど、そうすると私の胸が智さんに見られてしまう。
「いや、恥ずかしい」
智さんは私に口付けしてくれると、私の身体には力が入らない。
智さんは私の手を退けると、私の胸の先端をそのまま口の中に含んでいく。
「ああっ、いや」
反対の先端は智さんの手の中にある。そして、ゆっくりと、揉まれていく。
智さんは口に先端を含んでいたけど、そのうち、右手がゆっくりと下へ行くのが、その手の動きで感じる。
指が私の中心に来た。
「ああ、だめ」
そこは私の秘密。そこを犯すなんて、でも、私のご主人さまだもの。私の秘密を暴いてほしい気持ちもある。
ああ、もう、何も考えられない。
智さんが私の胸を愛撫してきたけど、そこにあった唇が私の中心に降りて行く。
「ああ、だめです。汚いです」
今日は身体の隅々まで洗ったよね。
でも、そこはだめ。
智さんは私の下着に手を掛けて、ゆっくりと腰から脱がしていく。
私は今、生まれたままの姿になった。
「だめです、恥ずかしい」
「もう、彩は俺のものだ。だから見せてくれ」
私はこの人の妻となった。見せて欲しいのなら、全てを見て欲しいけど、やっぱり恥ずかしい。
智さんが脚の間に入ってきた。
男の人と向き合うと、女の力ではどうしようもない。
私の脚が露わに広がる。
「彩、いいかい?」
うん、智さんと本当の夫婦になるのだわ。
智さんが来るけど、強烈な痛みが走って、思わず顔を顰める。
「大丈夫か?」
「待って下さい。動かないで下さい」
しばらく、このままにして。
智さんを受け入れたままでいると、だいぶ痛みは治まってきた。
「もう、大丈夫です」
智さんが動くと、まだ痛い。
智さんの動きが止まった。
「彩、今、一緒になったよ」
私の身体も今、この人の奥さんになった。
「分かります。私の中に智さんが居る。私たちは本当の夫婦になったのですね。嬉しい」
腕を伸ばして、智さんに抱きつく。
智さんも優しく、私を抱いてくれる。
「動いても大丈夫です」
智さんが私から離れるけど、まだ痛みが残っている。
「智さんが居なくなった」
私が言うと、智さんは再び私と、一緒になる。
今度は、先程の痛みはない。
しばらくそうやっていたけど、時間が経つにつれ、痛みは薄らいでいく。
「智さん、私の中でお願いします」
「でも、学生だし、赤ちゃんが出来たら困るだろう」
「今日は多分大丈夫。でも、もし出来たら、嬉しい」
私の中に小さな命が宿ってほしい。智さんとの宝が…。
智さんは私の身体で満足してくれた。
それは妻としての役目を果たしたということであり、私は妻としての自信を持てた。
「分かります。智さんがまだ中に居るというのが」
智さん自体は私から離れているけど、智さんの残した命が、私の中にあることを感じる。
私は今日、違う「彩」という女性になった。
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