deimos02-03
よし!
四凶さえ倒してしまえば、デイモスにできることなど、ここでは無い。
ガイアに協力を頼んであるから、デイモスがまた地下に逃げだしても、行き先は追える。
テューポーンが優勢だったことと、
それでデイモスの特性を忘れていたんだ。
「クククッ! こちらの期待通りの展開だな」
どこからかデイモスの嬉々とした声が聞こえる。
期待通り?
四凶が弱体化し、もうじき倒されそうなこの現状がか?
不安に駆られて目の前の状況を俺は確認する。
何が期待通りだというのだ。
悪神の協力で俺達を倒そうというのではないのか?
細かい変化でも見逃さぬよう、目に映る一カ所一カ所を注視した。
すると、テューポーンの打撃に苦しみ倒れていた
先ほどまでそんな触手など無かった。
あ!?
あれはデイモスだ。
だが、どうなってるんだ……ここからは確認できない……。
「テューポーン!
俺の指示に従い、テューポーンは
「やられた! 取り込まれている!」
この時、デイモスの目論見が判った。
エリニュスは、弱体化前のデイモスを喰えないし、先ほどの黒い霧も吸収できない。
同じだったんだ。
デイモスは初めから四凶を取り込もうとしていたんだ。
だが、攻撃力自体は弱いデイモスは、弱体化の役目を俺達にさせた。
そして今、弱体化した
「フフフ……気付いたようだが、もう遅い……」
勝ち誇るデイモスの声が周囲に響く。
繭も溶け、
どうする。
どうしたらいい。
俺は迷っていた。
この状況をどう対処していいのか判らないんだ。
「馬鹿野郎!」
「愚か者! さっさと攻撃せんか!」
「眺めていられる状況か?」
手をこまねいていると、背後から聞き慣れた怒声が飛んできた。
アレス、アテナ、アルテミスが到着したようだ。
俺は怒声に反応し、杖を
杖から放たれた雷撃が、
しかしデイモスに当たった際のこれまでと違い、ダメージを与えているように見えない。
「ウハッ。効かぬ。効かぬぞ……」
デイモスの声が再び聞こえ、
体表が泡立つように動き、そして身体もテューポーン並みに大きくなっている。
熊のような身体に狼のような頭部を持ったそれは、立ち上がったかと思うと、近くに居るテューポーンに堅そうな鱗で覆われた太い尾をぶつけた。
ダンッという衝突音のあと、テューポーンの巨大な身体が弾き飛ばされる。
もうこれまでの動きの鈍い
それは明らかだ。
別の何かに変貌したソレは、先ほどよりも濃密な黒い霧を口から吐き出し始めた。
いや、吐いているというより漏れ出しているという感じだ。
「ワハハハ、戦える、戦えるぞ!」
四凶を取り込み変貌したデイモスは、歓喜の声をあげ、そしてウォオオオっと吼える。
身体を起こし立ち向かっていったテューポーンにぶつかるように突進して両手を合わせ、尾をぶつけ合った。
ぶつかり合った尾はガンと音を立て、表面の鱗が傷ついた程度で止まる。
肉体の能力だけを見ると、デイモスとテューポーンは互角。
しかし吐きだした黒い霧は、テューポーンの周囲を巻いていた風に弾かれず、風と混ざり合っていった。
「テューポーン! デイモスから離れるんだ!!」
黒い霧に触れて苦しそうなテューポーンに俺は叫んだ。
手を振りほどき、デイモスからテューポーンが距離を置く。
すると、デイモスから漏れた黒い霧の中から、一体、また一体と人型の
それらがテューポーンに襲いかかる。
テューポーンの尾になぎ払われるが、飛ばされた先でムクリと身体を起こして再び襲いかかる。
一体の力はテューポーンを傷つけるほどではないようだ。
だが、耐久力に優れているようで、殴られても弾き飛ばされても、すぐに立ち上がりダメージを食らってるように見えない。
俺も雷撃を放ち続けているが、デイモスの霧に全て弾かれている。
この分だと、ネサレテの矢も本体に届かない。
テューポーンに加勢するために、アレスが人型の獣めがけて駆けていった。
アテナとアルテミスはネサレテとベアトリーチェの横で戦況を見つめている。
どうしたらデイモスにダメージを与えられるんだ?
雷撃を放ちながら、俺は考え続けていた……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます