第30話 追い出されたクルド
話は少し前に戻ろう。俺が逃げ出してクルドは無罪になった。ラディウスに向かってオルガは言う。
「クルドの旅立ちの時は只今を以って始まりとする。ラディウスよ。父としての務めを果たせ。そしてクルドよ。今からここを出て三つの課題を果たせ。課題が達成される時、お前の帰還が許される。肝に銘じろ。忘れるなよ」
「さあ来い。クルド。お前はここから出て行くのだ。課題を果たせ。決して出来ない事は課せられない。早く帰って来い」
「父さん、やめて。僕いい子にするから」
「お前は良い子だ。私の誇りだ。だが、課題を与えられたら果たさねばならない。これは神聖龍として生まれたからは必ず通らないといけない試練なのだ。学校に行くのもこの時を、楽にこなせる様に勉強に励むのだ。お前は学校にも行かなかったが、今ここで課題が与えられた。旅立たねばならんのだ」
クルドは村の西の外れに放り出された。
「お父さん。僕が嫌いになったの」
「大切な息子だと思っている。だが、お前はもう村には入れぬのだ。観念して行け」
取りすがるクルドであったが、父親の険しい顔を見てクルドは泣きながら西に向かって飛び立って行った。その後ろ姿を見ながらラディウスは小さく呟いた。
「お前が毎日何を見ていたかはしらないが、この旅でお前は目にする事になるだろう。楽しんで来い。気の済むまで」
ラディウスはやっと肩の荷を下ろした思いで家路を急いだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます