開戦まで〈あと三日〉
「最近の面白い情報とかないか?」
馴染みの酒屋にて店員風の男に話しかける。
「話題になってるのはお前らの喧嘩だろ。噂ではどっちが勝つか賭けてる馬鹿な輩がいるそうだぞ」
見た目は青年だがこの男も妖怪である。
神の遣いだったが破門され、下界に降りてきた所を酒屋の店主に拾われたらしい。
「あぁ〜……俺は平和に生きたいだけなのに。他人事だな、狐が生き残ったら困るクセに」
「ところで、人間からはただの蛙に見えてる俺に話しかけていいのか?お前変人扱いされるぞ。」
真神の目の前には蛙が居る。
「ああ大丈夫、大丈夫。どうせ俺なんて信仰もなくなってきてるから人の記憶には留まりにくい。数分も経てば忘れるだろ」
ちらと周りを見渡すが誰もこちらのことは気にならないようだ。
「悲しいこと言うなよ。少なくとも、この村の老人達はお前の味方だ。あとは…俺とか、な」
「それはありがたいね。じゃあ老人のために頑張るかぁ…なんてな」
冗談を飛ばしながらツマミを頬張る。
「じゃあ、また来るぜ。いい酒が入るのを期待してるからな」
「ああ、ピッタリの酒を探しておくよ」
真神はのれんの奥へと消えた。
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