社の本坪鈴ほんつぼすずに貼ってある文字のかすれた赤い札を見ながら不敵に微笑む。

「恐らくこれが取れるのは三日後。

次の満月の日だろう。

あいつを殺すにはとっておきの日だ。

知ってるだろう?昔から人狼とかってのは満月になると力が増すんだ。ふふ、楽しみだ。

どうやってあいつを殺してやろうか。」

背筋が凍るほどに綺麗な瞳をしていた。

それと同時にただならぬ殺気を感じ、漆も次の満月に起こる戦いを覚悟した。

「それで場所は何処なんですか。

民家の近くで戦われたらこちらも困ります。貴方達が出した被害を覚えていないんですか?あの一帯、今でも木が生えなくて野原なんですよ」

桐が質問を投げかける。

「当たり前だ。こっちには被害を出さない。

ヤツは恐らく山の中でコソコソ味方でも増やしてるんだろう。得意な洗脳を使ってな。

──そこを奇襲する。

ここに来られても邪魔なだけだ。

俺の死に場所はここだ?冗談じゃない。

死に場所なんざ自分で決める。」

漆が呆れた声を上げる。

「心配して損した。だがこれなら大丈夫そうだ。」

「あ?お前の心配なんて要らないね。」

つっけんどんな口調で真神が言う。

「昔の仇敵かたきに遭っただけで我を無くす貴方が言えることじゃないですね。」

からからと桐が笑う。

バツが悪そうな顔をして真神は「しっしっ」と払うように漆を追い出した。

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