第九十四話:夜天に響く歌声
時は、シルフィードがキソラと分かれるときまで遡る。
「それじゃ、私は
『大丈夫。任せて』
キソラの言葉に、シルフィードが腰に手を当てて言う。
「兄さんの魔法の影響で、使える魔法が制限されてるなら、早くどうにかしないとヤバいもんね」
『うん。本当なら、ノゾミちゃんが居たら何とかなったかも知れないけど、居ない人に頼るわけにも行かないからね』
ノゾミの空間魔法の作用は『有と無』である。彼女が認識したものを主に、効果が効果なだけにいろいろと出にくい事もある。
「私に使えなくはないけど、少しキツいからなぁ」
『キソラちゃんが、無理して使うことは無いよ』
シルフィードの言う通り、無理して使う必要はない。
だが、キソラたちの思いとは裏腹に、近いうちに、その
「ほら、早く行きなよ」
『うん。キソラちゃんも無理しないでね』
そのまま、シルフィードは去っていく。
「さて、と」
風がキソラの髪を揺らす。
キソラが今居るのは、学院の時計塔の上である。
「距離がそれほど遠くないのを見ると、魔力は少な目で良いかな」
キソラがそう呟くと、彼女の足元と結界の最上部分に魔法陣が現れる。
「これは、魔法でも魔術でもない。祈りや願いが
結界の最上部分にある結界を見上げながら、笑みを浮かべる。
「『月下照らしし夜天に響け』――」
そして、彼女は口を開き、その声を響かせる。
~♪
「これは……」
「歌……?」
レオナとライフに対峙していたノークが、シルフィードの入ってきた部分を見上げる。
『油断大敵、だよ!』
シルフィードに蹴り飛ばされたライフが、壁に激突する。
「ライフ!」
「っ、」
『我らが主の怒りを買う前に、自ら出向くか、捕縛されるか。決めるが良いよ』
淡々と告げるシルフィードに、レオナは噛みつく。
「誰が、自ら捕まりに行くものですか! こちらは何もしていないのに!」
『何もしていない? 君はそうでも、そちらの大猿は違う。中級精霊が、大精霊――それも、四聖精霊であるボクたちに嘗めた口を利いたことも、少しも敬意を表さないことも問題なんだよ。たとえ、ボクたちのことが心底から嫌いだとしても』
レオナの言葉に、シルフィードはこれまた冷静に返す。
いくら精霊といえど、人や同族にも好き嫌いはある。
だが、それがライフのように、顕著すぎても問題なのだ。
「偽りの敬意を示したところで、意味は無いだろ。敬意というのは、そいつが相手を敬う気持ちなんだからな。キキッ」
『そこについては、ボクも否定はしない。敬意についても、正直今はどうでもいい。ただ、一番の問題は、そちらから来ておいて、ボクたちの
このまま、国内に居続けるつもりなら、尚更だ。
「やれやれ……契約精霊に任せっぱなしっていうのも、意外とキツいもんだな」
『じっとしていた方が良くない? 下手したら、出血多量で死ぬよ? 今はキソラちゃんもウンディーネも側には居ないんだから』
「分かってるよ。でも、一緒に戦ったりできないっていうのは、
シルフィードは顔を顰めるが、やっぱり兄妹だとも思う。
こういう時ぐらい任せてくれればいいのに、隣に並んで一緒に何かを
まあ、そこが『らしい』といえば『らしい』のだが。
「なぁに、応急処置はもう済ませたし、少しぐらい思いっきり動いたところで、何の支障も
立ち上がるノークに、シルフィードは一瞥するが、彼女にしては珍しく剣を手にする。
『あっそ。でも、前衛はボクが務めるから。異論と有無は認めない』
「けど、お前――」
『これ以上、キソラちゃんに無理はさせられないし、させたくないんでしょ? だったら、この歌が終わる前に、彼女たちをどうにかしないと、彼女たちの命も周辺の状況も、最悪な結果を招くことになりかねない』
今こうしている間にも、キソラの声は聞こえてきている。
「なら、そうしなければいい。そんなの、お前が一番分かってるだろ」
『まあね』
シルフィードは剣を持ってない方の手を、ノークへと差し出す。
「シルフィード?」
『ボクは、君の意志を受け取り、
ノークの手を掴んだシルフィードから流れてくる、おそらく魔力であろう奔流がノークに流れていく。
「っ、」
それは、キソラたちのような“精霊憑依”などではなく、大精霊にして四聖精霊としての、圧倒的な
『形状は指輪。分かりやすく、キソラちゃんと一緒にしたよ』
どこかで見たような指輪だと思ったら、キソラも持っている四聖精霊たちの制御しきれない魔力を制御するための装飾品だった。
「ってことは……!」
『大丈夫だよ。キソラちゃんの方は制御目的、ノーク君のは戦闘補助目的だから。それに、ボクの主はキソラちゃんだから、彼女が一言命じてくれれば、いつでも本来の姿に戻れるし』
シルフィードの
「そうか。なら、遠慮なく使わせてもらうよ」
『死なない程度に頑張れ、ノーク君』
シルフィードの暴風が、襲いかかってきたライフとぶつかり合い、激突する。
『掛かってこいよ、大猿。ボクの主と仲間を馬鹿にした分は、きっちり清算してやるよ』
「キキッ、こっちはギリギリまで大人しく待っていてやったんだ。感謝してもらいたいね」
シルフィードの剣とライフの強力な尾がぶつかっただけではなく、援護射撃とばかりにノークとレオナが放つ魔法の応酬に、建物が震動する。
~♪
「……キャラベル?」
「歌が終わらない。これは――『奇跡』を願う歌、か……?」
シルフィードがぶち破った天井から見える魔法陣と、聞こえてくる歌に、再び崩壊の兆しを見せ始めた建物内で状況を見守っていたリックスとキャラベルは、そう話す。
聞こえてくる歌の歌い手が、声から判断するにキソラだということも予想済みだ。
「けど何で、その選曲? 歌で援護するなら、他の歌もあっただろうに」
「さぁね。けどそれが、あの子なりの手出しできる妥協点だったんじゃない?」
双方共に知っているわけだが、キソラが合流するための時間を引き延ばしているのは、あくまで知らないと思わせるため。
「全く。一緒に居ると、いろいろと飽きない弟妹分たちだよ。あの二人は」
「本当よね」
そんな話をしながらも、ノークとレオナ、シルフィードとライフによる戦闘の余波を捌いていく二人。
「キャラベル。俺、思ったんだが、他の所にいる怪我人とか、助けに行かないか?」
「奇遇ね。私もそう思ってたところよ」
そして、互いに視線だけ交わし、出入り口に向かう。
その際、二人が出て行こうとしていることに気づいたシルフィードが一瞥するが、「二人なら特に問題も無いだろう」と思ったため、声は掛けずに見送る。
「それにしても、邪魔な歌だ。一向に途切れる気配がない」
ライフが少しずつイライラしているのは、見ていて分かった。
その隙を
「レオナ様」
「構わないわ。貴方の好きにしなさい」
「ありがとうございます」
レオナに礼を述べたライフが向かうのは、シルフィードがこの部屋にやってきた、外へと続く穴。
『っ、まさか――』
ライフは、敵でもある自分たちを無視して、キソラの元に向かうつもりなのか、という考えが
「行け、シルフィード」
『え、でも――』
「キソラに何か遭っても困るんだろ。なら、向かえ。――後悔はしたくない」
『分かった。でも、死なないで』
それだけ言うと、シルフィードはその場から姿を消す。
「……ったく、その怪我で、わたくしと
「悪いな。こっちには、男としても兄としても、プライドがあるんだよ」
応急処置とはいえ、完全に止血したわけではない。
再び傷口が開いて、ぽたぽたと流れ始めた血に、ノークは内心舌打ちしながらも、笑みを浮かべる。
「何です? まさか、もう勝ったつもり?」
「お前は一つ、判断を誤ったな。この歌を止めさせるために、あの猿を向かわせた」
それが、この戦いの中で一番の誤りだ――ノークの言葉に、レオナは顔を歪ませる。
「あんたの相棒は、一体、どんな
☆★☆
日が完全に沈んだことで、周囲は暗闇に包まれていた。
学院の時計塔屋上で、すでに三十分以上歌い続けていたキソラは、とある気配に気付いていた。
(邪魔になったのか、歌の内容に勘付いたのかは分からないけど……私を潰しに来たか)
「やれやれ。伝言が伝わったなら、分かると思ったんだけどなぁ」
歌うのを止めずに、視線だけ“そちら”に向ける。
とりあえず、『奴』が来たら、すぐにでも反撃できるように、用意だけはしておく。
「貴方たちが敵に回したのは、ただの騎士や魔導師じゃない」
「見つけたぞ! 歌い手!」
「私たちは――」
キソラの目がライフを捉える。
「迷宮管理者にして、空間魔導師だぞ?」
ライフの魔法とキソラの防壁がぶつかり合う。
「とんだご挨拶ですね。ライフ殿」
「お前――」
「
キソラの顔をはっきりと認識したライフに、彼女は問いかける。
「一度、会っただと……?」
「その様子だと、お忘れのようですね。仕方ないと言えば、仕方ないのですが」
前にも似たような経験をしたし、人間でも忘れてしまうこともあるため、ライフのことを一方的に責められない。
それでも、こっちが覚えているというのに、相手が覚えていないというのは、悲しいものである。
「先代迷宮管理者、ノゾミ・エターナルが娘、キソラ・エターナルと申します。大猿公、ライフ。この名に聞き覚えは?」
「迷宮管理者? ノゾミ? キソラ? さぁ、知らんな」
名乗ってみたが、駄目だったらしい。
だが、目の前に居るのは、間違いなくキソラの知る大猿公、ライフである。
(本当に記憶が無い? 会ったのは十数年前なのに?)
ノゾミに連れられる形で、キソラは間違いなくライフ本人に会っている。
もし、キソラの記憶が正しければ、こうして再会するまでの間に、何か遭ったのかもしれない。
だが――
「そうですか。でも、貴方は兄や四聖精霊たちだけでなく、私にも牙を向けた。その意味、お分かりですか?」
「キキッ。お前こそ、我が大猿公と知っておきながら、その振る舞い。貴様こそ、我に刃を向けておいて、生きて帰れると思うなよ。キキッ」
「……そうですか。残念です」
敵対する者に、容赦するつもりはない。
(ごめんなさい、お母さん。どうやら、彼とはまともに話すことは出来ないようです)
母親に軽く謝罪し、手にしていたホーリーロードを剣へと変える。
「『大猿公』とはいえ、貴方は中級精霊。いくら貴方が自身の力を信じていたとしても、世の中に勝てない相手というのは一人や二人、居るものなんですよ?」
キソラはそう告げるが、彼女たち空間魔導師にも勝てない相手というのは、存在している。
「そろそろ、いい加減にその口を閉じろ。小娘」
「すみませんね。女の子って、おしゃべりが好きだから」
にっこりと笑みを浮かべて言うキソラだが、おしゃべりついでに詠唱をし、歌い続けてもいるので、なおさら
『うわぁ。あの猿、キソラちゃんを一人で相手にするとか、正気かよ』
遠目で二人のやり取りを見ていたシルフィードは、今すぐ逃げたかった。
だが、ノークとの約束もあるため、このまま戻ることは出来ない。もし、戻ったら戻ったで、後が怖いからだ。
でも、このままじっとしておいても良いことなど、何もない。
『やっと追いついた!』
盛大な嘘だが、キソラの手を汚させる必要はなくなったのではないか。
「あ、シルフィ」
笑顔に愛称で呼んでくるキソラに、シルフィードは先程までのが嘘だったのを理解した。
だって――笑顔は笑顔でも、目は笑ってなかったから。
『すいませっしたぁ!』
速攻の土下座による謝罪だった。
「顔、上げて。それより、こっちは良いから、兄さんの方に戻りなよ」
『え、でも……』
「キキッ。我に一人で勝てると思ってるのか? せっかくの援軍を追い返すとは、小娘、自分の力量を把握しておらんようだな」
その時、シルフィードはキソラが口角を上げていたことに気付いたのだが、ライフは気付かないのか、特に変わった様子を見せない。
(もう知ーらない、っと)
シルフィードは目を逸らすと、屋上の枠外へと避難する。
「ああ、思ってる。それに、彼女の気遣いも分からないそちらこそ、自分の力量だけではなく、相手の力量も把握しきれていないのでは?」
「何だと!?」
「最初から全力を出す奴は、初心者か馬鹿のすることだ。それが、たとえ意図的だったとしても、気付けなかった時点で、勝率は無いに等しいぞ」
ゆらりと藤色の光がキソラの目に浮かぶ。
次の瞬間、“かまいたち”のような斬撃がライフを襲う。
「がっ……!」
「あら、大猿公ともあろう御方が、本能で回避できませんでしたか」
くすくすと笑みを浮かべるキソラに、ライフは悔しそうな顔をする。
「さぁて、貴方の契約者が無事だと良いですねぇ」
そう言って、キソラはノークたちの居る建物がある方向へと、目を向けるのだった。
☆★☆
「全く、往生際の悪い殿方は嫌われますわよ!?」
「そのまま返してやるよ。往生際の悪い女は好かれねぇぞ?」
魔法の撃ち合いから得物の激突、再び魔法の撃ち合いと、戦況が変化していたこちらは、途中で言葉の応酬も混ざることで、長期戦になっていた。
いくら双方負傷しているとはいえ、傷の度合いで行けば、ノークの方が重傷なのは目に見えて明らかなわけで、この会話に繋がるのだが。
「っ、言ってくれますわね。けど、捕まる気は更々ありませんわ。……まぁ、追われるのは好きですけど」
最後にぼそりと呟かれた言葉は、ノークにも聞こえていたが、返すとややこしくなる気がしたので、
「数時間前の約束、覚えています? どちらかが勝ったら、相手を好きなように出来ると」
「ああ。俺は断ったがな。お前みたいなの、タイプでも無いし」
「随分、はっきり言いますわね」
口角を上げるレオナに、ノークは目を逸らさずに淡々と返す。
「知ってます? 好きになる人って、好みのタイプとは別だというのを」
「それも知ってる」
いつだったか、キソラが話していたのを、ノークは思い出す。
『意外な組み合わせだよねぇ。先輩の相手の人って、話していた好きな人のタイプとは違うみたいだし』
当時有名だった女子と、彼女が付き合い始めたという相手は、公言していたタイプと違ったらしい。
女子の言ったタイプが嘘だったのか、相手が彼女を落としたのか(またはその逆か)は分からないが、とにかく大騒ぎになっていたことはノークも覚えている。
ただ、そこは男女の差。ノークはあまり興味は無かったので、詳しくは知らなかったが、キソラはノエルたちの影響もあり、聞いて知っていたらしい。
『でも先輩、頑張ったんだよね。相手の好きなタイプに、少しでも近付けられるように』
『お前も、そういう話をする
『兄さん、父親みたいなことを言わないでよ。そういうのは、私が相手を紹介するために連れてきた時とかにしてよ』
『……もしかして、居るのか?』
『さぁね。秘密』
あれ以降、恋愛系の問題は特に聞いてないので、おそらく、誰もいないのだろうが、今もいないのは問題では無かろうか――完全に、自分のことは棚に上げているが。
「……まぁ、誰が来ようが、うちの大事な妹はやらんがな」
どれだけ考えようとも、最終的には、そこに行き着くのである。
イアンたちが、まだこの場に残っていれば、シスコンだの何だのと言っていたのだろうが、悲しいかな。居るのは、兄妹の事情を知らない敵であるレオナのみ。
「……貴方が大切に想っている方が居るというのは分かりました。その方にとって、貴方が障害であることも。私にとって、その方が障害であることも」
「うん?」
レオナもレオナで、ある程度把握していたのは発言から分かるが、どうやらノークを諦める気は無いらしい。
「その方に、私は味方しますわ」
「いや、ちょっと待て。つか、お前はそいつの顔も名前も知らないだろうが」
こいつをキソラに会わせてはいけないと、直感的に判断するノーク。
会わせたら、絶対に良くないことが起きる。世界規模レベルで。
滅多に表に出ないが、キソラもキソラでブラコンな面もあるのだ。
『あの女、何か酷い目に遭えばいいのに』
『冗談でも、そういうことは言うなって。どんな言葉にも言霊があるんだから、変なこと言って、本当に起きたらどうするんだ?』
『じゃあ、転べばいいのに、に変えるよ。でも、兄さんは私の兄さんだもん。まだ、誰かに上げるつもりなんか無いもん』
これは、キソラが初等部(十二歳)の時の話ではあるのだが、彼女の言い分は可愛らしいと思うべきか、この時からこうだったのかと思うべきか。
「えぇ。でも、調べれば良いだけですから」
「敵に対して、堂々とストーカー宣言か。一緒に団所まで来れば、いやでも俺の情報は手に入るぞ? 危険を冒す必要も無い」
「むぅ、捕まって安全に情報を得るか、捕まらずに危険を冒して情報を得るか、ですか……」
「いや、そんなことで悩むなよ」
言ったのは自分だが、まさか悩ませることになるとは。
だが、ノークが呆れるのも、レオナが悩むのも、いきなり止めることとなる。
というのも、二人の間に何かが降ってきたからだ。
「っ、ライフ!?」
『いやぁ、ここまで運んでくるの大変だったよぉ……』
白い毛並みを血に染め、気を失っているライフにぎょっとしたレオナが慌てて駆け寄り、ライフを運んできたであろうシルフィードも一部を血に染め、疲れ切ったかのように、ノークの隣に降り立つ。
『感謝してよねぇ。その猿が死ぬギリギリ前で連れてきて上げたんだから』
「つか、キソラにしては、
『多分、ノー君が傷つけられたのが主な原因。後は、そこの大猿が面識があるはずなのに、無いって言ったから、その八つ当たり。後はまあ、ストレス発散?』
「……そうか」
そんな理由でもない限り、キソラがライフに重傷を負わせるはずがないのだ。
「それで、あいつは無事なのか?」
『大丈夫じゃないかな。攻撃を受けた側から回復させてたみたいだから』
「なら、良いんだがな」
ノークは、天井に空いた穴から見える月に目を向ける。
「はぁっ、はぁっ……」
ぽたぽたと、赤い滴が落ちる。
「ったく。力使うの、予定外だったな」
当初、使う力は『歌』だけのつもりだった。それなのに――
「それで、私もこのザマとか、兄さんたちに何て言われるか……っつ」
未だに塞ぎきっていない傷口に目を向ける。
「後は……ああ、この血痕もどうにかしないと」
ふわりとキソラの髪が舞う。
時計塔に流れてしまった血が乾き切る前に、そっと触れれば、指にその血が付く。
「――この場にある血を対価に、扱える魔法を。『響け、夜天に“奇跡”を願う歌声を』」
ライフとの戦闘で、一時的に止まってしまった歌を再度口にする。
対価にした時計塔に落ちていた血液が、天へと舞い上がるのだが、月光を浴びてきらきらと輝く『それ』には、どこか妖しさがある。
「まだ、生きていることに感謝すべきですよ。ライフ殿」
そう告げると、キソラは笑みを浮かべた。
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