興味と欲望は違います 2
二人で赤い顔をしたままリビングに行くと詩織さんに初々しいわね、とにやけ顔で冷やかされてしまった。
実際はそんなに初々しくはないと思う。付き合ってから二ヶ月しか経っていないのにフレンチキスまでしてしまっているのだから。
詩織さんがお茶を出してくれたので四人そろって席に着く。
今日はハーブティーみたいだ。鼻にすっと抜ける香りが熱された頭にはちょうどいい。
「ゆきちゃん、そんなに顔を赤くして上で何をやっていたのかな?」
「……別に何も?」
「島村くん?」
「ちょっと僕が調子に乗り過ぎただけです」
「まあ、気にしないで話を進めよう」
雄介さんが場の空気を入れ替えてくれる。
「まず、島村くん来てくれてありがとう」
「いえ、お礼を言うのはこっちです」
「島村くんもゆきちゃんのことを大好きなのね?」
「ええ、世界で一番」
「~~~っ!!」
「良かったわねゆきちゃん、愛されてて」
詩織さんも雄介さんも慈愛に満ちた笑みを浮かべている。
優姫さんは手で顔を覆い隠して羞恥に悶えている。そんなに恥ずかしかっただろうか?
「優姫の将来も安心できたことだし親としてはとても嬉しいよ」
「今度婚姻届を持ってこようかしら?」
「お父さん、お母さんも……」
「僕はまだ十五なので二年ちょっと待たないと婚姻届は出せませんね」
「遼くんも……」
「そろそろ話させてくれないかな?」
「「ごめんなさい」」
「わかればよろしい」
雄介さんが腕を組んで目を閉じている。
そして目を開くと同時に口も開く。
「島村くん、優姫とは高校生という自覚をもって付き合って欲しい。二人とも学生なんだ、未来があるんだ。その自覚を持っていてくれ」
つまり、一線を踏み越えるなということだろう。
僕にもとからその気はなかった。つまりくぎを刺した、ということだろう。
どこまでも用意周到な人だ。
「はい、心得ております」
「うん、ならいいんだ」
雄介さんは安心したように笑って付け足した。
「僕らは君を信頼して優姫を預けるんだ。わかるかい」
「はい」
「よろしく頼むよ」
「はい」
僕は雄介さんの視線を受け止めて心に刻む。
雄介さんと詩織さんの信頼がかかっているんだ。
「さ、今日はごちそうらしいぞ」
「ええ、たくさん作ったから二人ともいっぱい食べてね?」
「太りたくない……」
「頑張ります……」
詩織さんが席を立ちキッチンに向かう。
5分もせずに料理が並び始める。
本当にごちそうだ。量もすごいしどれも美味しそうだ。
案の定食べきれずに詩織さん以外はお腹を膨らませて動けなくなってしまった。
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