ボクらボンクラ

松井悲劇

1.ブルマ事件(前)

 最近学校で窃盗事件が続いているらしい。それも奇妙なヤツ。

聞いたところによると、盗まれるのはお金じゃないらしく、女子生徒の体操着の下。いわゆるブルマというやつらしい。羨ましい。

 この時点で容疑者は男であることがほぼ確定しているわけだけれど、近辺に不審者情報は出ていないとのことだ。つまり、犯人は学校内の人間の可能性もあるというわけだ。

 学校がその対策として行ったのはアンケートだった。

「あなたは最近わが校で発生している盗難事件について何か知っていますか?」

ファーwww なんてバカな対策だろう。いじめすら見抜けない学校のアンケートが正体不明の変態野郎を暴き出せるはずもなく、被害は増えるばかり。

 僕は一人イキり立って、放課後に生徒会でこの件を相談してみた。

「絶対犯人は学校の中の誰かですよ」

「何言ってるんだ。そんなわけない。帰れ」

 生徒会長はその三つの言葉を機械的に吐き出して僕を生徒会室から追い出した。棒読みから察するに僕のような意見が多数寄せられたんだろう。それでああいって関わろうとしないんだ。そうに違いない。

あぁ、所詮先公の犬か。使えない。


「というわけで僕らで解決しよう」

「は?」隅でカードゲームをしていた丸山はダルそうに威圧的にそう言った。

丸山の相手をしていた荒井は少しこちらを見ただけですぐに視線を机に戻した。

 僕が最後に頼ったのは部活の友人たち。暗くてキモい、クラスの透明人間たち。

でも暇な奴ら。なんだかんだ言っていつも手伝ってくれる。

「どうやったら犯人をあぶりだせるだろう」

「罠じゃね」

「ですね」

ほら、もう乗り気になってる。

最高だ。

 荒井は眼鏡をクイッとやってカバンの中をゴソゴソとあさり始めた。取り出された手には一枚のブルマが握りしめられていた。

「そういうと思いましてね」

「お前が犯人だったのかァ!」

 僕と丸山は荒井に飛び掛かった。でも運動神経が虫ケラ以下の僕らを骨人間荒井はサッサッと避けた。ガリガリの奴はこういう時得だ。

「僕じゃないですよ!作ったんですよ!」

荒井はブルマをブンブン振り回しながらそう言った。

「それはそれで問題だろ」

「キモシネ」

 散々な言われようである。この後荒井がキレ散らかして彼らに言った内容を筆者が要約すると、彼が作ってきたのは犯人を見つけるための罠。ダミーブルマであった。

「これがですね、笑い袋になってるわけです。握りますと…」


ギャハハハハハハハハハハハハハ!!


 埃クサい部室にひょうきんな笑い声が響き渡った。荒井は満足そうな顔をしている。僕と丸山はきっと同じことを思ったに違いない。

(くだらねぇ)


「なぁ、荒井。これすげぇけどさ、このブルマってうちの高校のだろ?どうやって仕入れたんだ?」

「妹のです」

この作戦は必ず成功させなければならないと彼らは誓った。




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