第33話 スーパーにゃんこ ⑤

猫カフェ『にゃんこの館』オープン!!


その日は朝からてんやわんやでした。


お客さまの接待に慣れない猫たちは、

キャットタワーに登ったまま降りてこないし、

ソファーの下に隠れて出てこない子もいました。


それでもオープン日ということで

お客さまの入りは上々でした。


閉店後、スタッフの猫たちはもうヘトヘトだった。


餌を食べて、それぞれのゲージに戻り、

電気を消そうとしていた、その時でした。


ガリガリガリ……


ドアを爪で引っ掻くような

音が聴こえてきました。


おっかなびっくりしながら……


美弥さんがドアを開けると、

一匹の三毛猫がそこに居ました。


しかも、鏡に映したように

ミーコにそっくりな三毛猫です!!


「もしかして、お父さん!?」


美弥さんの足元にいたミーコが叫んだ。


年老いた三毛猫は頷くと、

ゆっくりとミーコの頭を舐めました。


毛づくろい!?


――この感触覚えてるわ。

仔猫の頃にお父さんがやってくれた。


「やっぱりお父さんだ!」

「ミーコ……」


猫カフェ『にゃんこの館』オープン日

遠くから駆けつけてくれた父猫の愛に、

胸がいっぱいです!


たとえ離れいても、長い間会わなくたって

“家族の記憶”は消えません。


三吉とミーコは毛づくろいしながら、

お互いのことを語り合い、絆を深めていった。


なんと美しい“家族愛”でしょう!!


その姿に、

猫カフェ『にゃんこの館』のスタッフたちは感動です。


外階段の下では、

強面のトラ猫が満足そうに眺めていました。


           *


はてさて、

三吉たちはどうやってここまで来たのでしょうか?


ゴミ捨て場あったスケボーに

足の悪い三吉を乗せ、頑丈にヒモをかけると

寅と子分の猫たちが、それを咥えて曳いてきました。


犬ゾリではなく、猫ソリの出来上がり!!


このアイデアは、

超天才猫三吉が考えたものです。


          *


『浅草の寅』たち御一行は、

たっぷり餌とお水をもらい

元気いっぱい帰っていきました。


三吉は美弥さんの運転する自動車で

学習塾まで送ってもらうことになりました。


自動車だと1時間くらいの距離です。


その車内で父娘おやこ水入らず

いろいろ話をしました。


青空動物病院で、

出会った牛猫のことは

おそらく母猫ミミだろうと三吉が言った。


今まで離れていた家族が

最期に会えるなんて……

幸せなことだとミーコも思った。


「みんな、ありがとうー!!」


オーナーの美弥さんやスタッフ猫たちへ

感謝を込めて叫びたくなった。


          *


これにて12匹の猫+αたちの

にゃんこストーリーはおしまいです。


ご拝読いただき

誠にありがとうございます。


猫カフェ『にゃんこの館』スタッフ一同

またのご来店を心からお待ちしておりまーす!



(ω゚∀^ω)ニャンニャーン♪



            ― おしまい ―

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猫カフェ『にゃんこの館』 泡沫恋歌 @utakatarennka

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