青春映画

作者 きゅー

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★★★ Excellent!!!

まだ読み途中ですが、現時点で既に琴線を突かれまくってしまったのと、コンテスト終盤ということもあり、レビューさせていただきます。
 
第1章、晶人のパートを読ませていただきました。
 高校の映画部員、晶人は自身の潔癖症に悩み、そのための周囲の人間との隔たりを感じながら過ごしています。その彼の苦悩を中心に描かれたのが、第一章です。
 
この世代ならではの痛みや傷つき方を掬い上げ、この世代ならではの目線で周囲のものを映し出しているように感じました。
カメラに切り取られた自分のいない世界の美しさ、
レンズを通すことで、主観を伴う自らの目で見るよりも世の中が美しく見えてくるその感じが、痛みとともに自己への疑問をも伝えてくるようで、とても心に響きました。
自分という主観さえなくなれば、世の中はこんなにも美しいと感じてしまうその儚さに、けれど若さを感じます。

冒頭、同級生たちがプールの授業をするのを見学している場面が登場しますが、
ここで見た自分のいない風景、自分と周囲の間にある隔たりが、カメラを通して見る世界の印象と繋がり、それがさらに「なぜカメラでの撮影をするのか?」という問いの答えにも繋がっていく様が見事で、切ないと同時にある種のカタルシスを感じさせます。
 
友人や先輩、兄など、彼には心配してくれる相手がたくさんいて、なのに彼らの世界にうまく馴染めない。
そういう類の悲しさは彼にとっては「世界が自分を受け入れてくれない」状態ですが、周りのみんなにとっては違っている。
そういう風に、一人称で書かれているにも拘わらず、多面的に描かれていることにも、たいへん好感を持ちました。
 
続く脚本担当赤羽根パート、監督志望の亮也パートも楽しみです。

★★★ Excellent!!!

とある高校の映画部員三人は、それぞれ家庭内に苦悩する陰の部分を持っていた。

互いに陰を持つ同士であるはずなのに、相対すればそれぞれが相手にとっての光にもなりうる。

重いテーマを扱い、終始暗い色調で進み続けながらも、希望を含んだような淡い光を決して失わない絶妙な心理描写と情景が、とても素敵でした。

★★★ Excellent!!!

これは映画を撮ることへの情熱や映画作りの面白さを描いた青春小説、ではありません。
家族との関係に何らかの悩みを抱える少年少女の叫びを描いた作品です。

思春期の傷つきやすい心とそれでも強くあろうとする姿が緻密に丁寧に描かれ、私のように子どもを持つ者には刺さってくるところが多かったです。それと同時に、中高生だった頃も思い出しました。日常に憤りを感じている若者がいたら読んでみてください。きっとぴったりとくると思います。

晶人、赤羽根、亮也。三人の事情が視点を変えそれぞれ語られていきますが、彼らにとって撮ることとは何だったのか、三人の群像劇が、映画へとまとまっていきます。

ヘビーな設定に生きている少年達たちが登場するので、苦手な方はご注意を。しかし、彼らが希望へと向かって行こうとするお話であることはぜひ書き添えておきたいと思います。