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 宇宙船は空中に浮かんでいる。あまりに巨大すぎ、直接の地上着陸は不可能なのだ。三つ葉葵の紋所が描かれている、つまり幕府の御用船である。

 宇宙船の船倉扉が開くと、内蔵されている連絡船シャトルが斥力装置を煌かせ、ゆっくりと降下する光景が見えた。

 連絡船は【ツッパリ・ランド】を真っ直ぐ目指しているようだった。

「ど、ど、どうして……?」

 驚く世之介に、助三郎が笑いながら説明をした。

「御老公様が、木村省吾に命じて、超空間通信機を使わせたのだ。御三家のみが使用できる優先暗号を使用すれば、幕府の御用船を呼び寄せることが可能だ。ま、滅多に使用はしないがな。今回は特別、という訳だ」

「へえ……。いつでも、ね。爺さん、あんたこんな隠し玉を持っていて、一言も話しちゃくれなかったな」

 光右衛門は、すっ呆けた顔付きで、あらぬ方向を見ている。しかし頬には、うずうずと笑いが込み上げているようだ。

「老中に命じて、番長星にはすぐさま、様々な援助が受けられるようにしましょう。大丈夫、番長星の人間は、一人立ちができるようになりますぞ! 省吾さん!」

 呼びかけられ、省吾は「えっ?」と顔を上げた。

「番長星の事情をよく知っているのは、あなただけです。どうです、省吾さん。あなたが番長星の明日のため、骨を折る気は?」

 省吾はすっくと立ち上がり、頷いた。両目には熱意があった。

「勿論です! その仕事、身命を架けてやり遂げましょう!」

「結構、結構!」

 光右衛門は上機嫌に高笑いをした。

 連絡船が着地し、扉が開き、地上に通路が接地して内部から数人の搭乗員が出てくる。搭乗員の先頭に、一人の河馬のように太った男が転げるように出てくると、両足を必死に回転させ、世之介目掛けて近づいてくる。

 世之介は呆れた。

 駈けてくるのは、世之介の父親、七十六代目の但馬世之介であった!

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