第159話 スピーチエイドの心配

 僕は自分の事を考える様になった。


 スピーチエイドについて心配していた。子供の頃からスピーチエイドを作ってくれていた医師が高齢になっていたからだ。


 この医師が引退した後、誰に頼れば良いか分からなかった。


 僕はインターネットで調べて、横浜の鶴見大学病院を見つけた。診察してくれた女性医師が驚いていた。


 「何故幼い頃手術をしなかったのですか?国が費用を負担してくれキレイに治してくれたのに。スピーチエイドは不衛生だし、今時使っている人はいないですよ」と言われ、珍しいと口の中を何枚も写真を撮られた。


 「残念ながらここの病院では手術出来ません」と言われ、上野にある東大病院に紹介状を書いてもらった。


 兄に相談すると一言「わかった」と言った。


 僕は早く手術がしたくて幹部の佐藤にガオの仕事を引き継いだ。販売員の管理や面接の仕方、毎日の食数の出し方まで、僕の持っているモノ全て惜しみなく教えた。佐藤は仕事が早く呑み込みが良い。 


 ガオに関わるメンバーに情で流される事が無いのが強みだと思った。

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