第131話 営業部長としての責務
親父は、日の出屋の会長になり軽自動車でタクシー会社に一件だけ配達した。昔の配達していた唯一残ったお客さんだ。
業務には一切口を出さなかった。親父の「まだ食べられる」の言葉はもう聞く事も無い。日の出屋は完全に兄に引き継がれた。
親父は暇なときゲートボールやちぎり絵を作り日々を楽しんでいた。
僕は営業部長として活動をしていた。
菊田専務の営業指導はとてもシンプルなものだった。太陽グループを辞めて、他のライバル店に入り営業する者も多くいた。
そんな時も菊田専務は冷静に「お客さんを取られてもコツコツ顔出しして取り返せばいいんだよ。取り返すまで諦めちゃ駄目だよ。必ず戻って来るから自分を信じるんだよ」と励まされた。
川崎に「八角屋」と言う安売りの弁当屋がある。
この店に太陽グループの元社員が何人かいた。日の出屋の顧客を集中して狙われた。この人物は、岩崎と言い店長の肩書がある。
チョット変わった軽自動車を改造したモノに乗り、遠目で見てもすぐに分かった。僕は菊田専務の教えを守りコツコツ顔出ししてお客さんが八角屋に流れないように頑張った。
岩崎の軽にピタリと付けて離れないようにした。
ある日パチンコ屋の駐車場に見慣れた軽が止まっていた。時間は午後二時で普通仕事の時間だ。
もしかしたらと思いパチンコ屋に入るといた!岩崎だ。
パチンコを打ち二箱出していた。僕は岩崎の真後ろに立ち睨みつけていた。岩崎は僕に気が付くと首を横に振り何故?という顔をした。
こんな男に負けられない。
僕はパチンコ屋を出て仕事に戻った。
岩崎はこの一件以降、自分から営業を降りた。
僕の事を恐れていた。
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