第88話 バスケットでの出逢い
バスケットの東新電気に練習をしに行くのは楽しかった。
女子部は美人揃いだ。リカさんが僕の好みで、練習中姿を追っていた。
練習が終わると、男子部の仲間とファミレスによく行った。
一つ上の荒木さんが、女子部でのタイプを聞いてきた。僕はリカさんがタイプですと言うと、今から会いに行こうという。
リカさんは、会社の女子寮に住んでいた。この頃も携帯の無い時代だ。荒木さんを先頭に女子寮に着くと、リカさんを呼び出した。
僕はこの急展開にビビッた。
リカさんが出て来て「何々嬉しい」と、言いながら僕を見た。荒木さんが拍車をかける。
「昇さん、リカの事好きなんだって」
僕は赤くなって火を噴く思いでいた。僕は「憧れているだけなので気にしないで下さい」と言う。
リカさんは優しく「嬉しい。ありがとう」と言った。
東新電気の懇親会で、荒木さんがリカさんに「昇さん優しいし、付き合いなよ」と僕を勧めてくれた。
リカさんの横に僕は座らされ、緊張の余り口を利けなくなった。荒木さんが怒り出す。
「昇さん、リカに何か言ってあげなよ。好きなんでしょ」
リカさんが泣き出した。
鈴木さんが気を利かせて「昇、もう帰ろう」と外へ出た。
とんだ懇親会になった。自分の不器用さが嫌になった。リカさんは間違いなく東新電気一の美人だ。
僕に、積極的な行動が出来たら付き合えただろう。
勿体ない事をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます