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ほどなくして、「輝石領」に「女傑ゴア」社が建ち、領土外延部には「
サールは母親が自身の良心を捨てた真意に気付き、支えとなろうと「自慢の息子」を演じ続ける覚悟を決めた。
母親は彼にとっての「
サールと母親は、領主に許され領内でゴアの教えを説いて回った。領内で一か月も過ぎたころだろうか、彼等の活動は多くの「
そこには姉と一緒に、レティシアも教えを受けに訪れていた。だが教えを受けるレティシアの耳に、「女傑ゴア」の声が届く事は無かった。彼女の目が、いつも教えを説くサールを追い続けたからかもしれない。
レティシアとその姉ジルは、「輝石領」に暮らす人奴隷の娘の多くがそうで在るように、領主の寵愛を受け、何時か食される事を望んで日々様々な教養や芸、特技を身に着ける為に励んでいた。
もはや外見的な特徴では殆ど差がつかない「
その幅は少しでも他人より目立とうするあまり、踊り、歌などいったモノにとどまらず、学問、剣術、馬術、狩りの腕前やひいては魔術にまで及んだ。また領主はそういった人奴隷領民の努力を評価し、内政として援助も施して自らの一皿の価値を高めた。それは結果として領内の生産、生活発展、軍事、軍備の強化に波及した。
「輝石領」は老獪な領主の偏食が極みに達し、それを領民が「
レティシア達には焦りもあった。
領主は季節ごとに、一定年齢の子を選んで食す。殆どは女子だが稀に男子も選ばれる。また理解できないが時として何の特徴も無い子、一定年齢から外れた者なども選ばれる。そして領主は気まぐれ高級奴隷商が外から買い付けた者を、その季節の皿にのせる事も在ったからだ。
年々その気まぐれは増えて行き、今や皿に領内からばれる娘は年に三人、悪ければ二人だ。
領主が好む一定年齢の期間はそう長くはない、娘が生まれた家族は、娘がいなくとも可能性に掛けて息子を家族は早くから「領主が気に召す一皿」となるよに育て上げた。
そして選ばれなかった子供たちは、己が産んだ子供こそと思い、時期が過ぎれば頃合いの伴侶を選んで子を作る。
そこには愛、家庭と言ったモノでは無く「生産現場」に近い感情しかない。心血を注いで価値を高め、その日を夢見るのだ。そして願い敵わなかった時は受け入れて次に託す。
だが「
そのような事態には、老獪な領主は変質的で苛烈な炎となって荒れ狂い、自らの美しい領土を汚す事の無いよう罰を下して領民、人奴隷達に焼き付けるのだった。
だがレティシアと姉ジルに起きたそれは、サール親子を巻き込み、燃え続ける大火となった。
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