3-7
身支度を整え、アリアは一人、
一人で来いと命じられた訳ではない、だが一人で来る方が問題が少ないと思ったからだ。
部屋の扉をノックし、来訪を告げると。中から
「ベールデナ様、アリア・ゲラール参上いたしました。先ほど御無礼を働いたことを重ねてお詫び申し上げます。」
「またそれに拘わらず、「紅月」様にはご好意、ご配慮を賜り、お礼申し上げる次第です。」
アリアは黙って主の返答をまった。静まり返った部屋には料理の香りが漂う、まだ食事を終えていないアリアには腹の音が鳴るのではと危惧したが、離れていても聞こえる食べ物を咀嚼する品の無い音に食欲を削がれたため、気にする必要は無かった。
「立て」
「随分とかかったな、、、ん、お前一人で来たのか?」
「また何か企んでいるのか?だがその色気の無い鎧姿では無理だな、まあドレスなど持参するはずもないか。」
「まあいい、席に着け、腹が減っただろろう、飯でも食いながら話そうじゃな無いか、俺の
長テーブルのを挟んで対面に座る。素早く給仕の
いい香りだとアリアは思った。食材も良いモノを使っているのだろう、だが美味しいと思って食べる事が出来るだろうか?
部屋も調度もの野営に比べれば格段の差がある。だがアリアの目の端でソレを捉えて思った。やはりサールは連れてこなくて正解だったと。
アリアは思う、彼女の自我は人のままだろうかと?
砦の停車場で
「ごめんなさいサール。」
アリアは
「彼女はもう駄目かもしれない、そして今の私達じゃ「救えない」は」
その言葉にサール自身も納得はしていた。そして顔にやり場のない感情を押し殺す表情を滲ませ、謝罪を口にする。
「、、、すまない」
アリアはサールに微笑んで告げる。
「気にしないで、貴方の気持ちは何となく想像がつくは、でも「堕ちた」とは言え「竜の血筋」の男子としては随分風変りね、貴方。」
「ま~私も「女子」として随分変わってると思うけど」
「貴方が何故「そうあるのか」、差し支えなかったら後でゆっくりと聞かせてね。」
アリアはそう言って黙ったままのサールに伝えたが、急に思い出したように付け加える。
「あ、勘違いしないでね、私には旦那様がいるんだから。」
「貴方がが凄っくハンサムで、カッコいいのは認めるは、でもその気は無いからね。他の女と私を一緒にしないで、惚れても無駄よ。」
サールはその言葉に苦笑した。アリアもまた笑った、そして深刻な表情で溜息をつくと、
サールはしばらく自身の立場について思いを巡らせたが、ふと、
だが
サールはアリア達が手を結ぶ相手として、唯一無二の存在だと思っている。おそらく自身の素性を話すことに問題は無いだろう。だが目的までは、、、
サールはとりあえず荷役の務めを果たすことに集中した。
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